長野潤一のトラッカーズアイ

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喜連川・スーパーグレート エコ ハイブリッド試乗記

10月22日、栃木県の三菱ふそうトラック・バス喜連川研究所で公開された、国産初のハイブリッド大型トラック「スーパーグレート エコ ハイブリッド」に試乗してきたので、その様子を報告したい。

まず、ハイブリッドの方式だが、ベースとなる「スーパーグレート6×2ウイング」(GVW25トン、380ps、12速INOMAT-Ⅱ)に、薄型モーターとリチウムイオン電池を搭載したパラレル式ハイブリッド。06年に発売された小型トラック「キャンター エコ ハイブリッド」とほぼ同じレイアウトを持つ。両者とも、エンジン走行が基本で、モーターは減速時の回生と、加速時のアシストを行なう。ただ、「キャンター」がストップ&ゴーの多い市街地走行を前提としているのに対し、「スーパーグレート」は高速長距離輸送を想定して開発された点が異なる。つまり、大型トラックは起伏の多い日本の高速道路では、緩やかに見える下り坂でもスピードが出過ぎるため、補助ブレーキで減速しなければならない。従来捨てられていたこのエネルギーを回収して、登坂時に利用しようというわけだ。

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試乗車はまだ開発車両であるため、発売時期、価格、スペック等は未定。そのため、開発ドライバーの運転による同乗試乗となった。センターコンソールにはノートパソコンが設置され、助手席側からも車速、アシスト量、バッテリー蓄電量、燃料消費などのデータがリアルタイムで見られるようになっている。試乗は定積状態で、3.6kmのオーバルコース(トラックのテストコースとしては世界最大級)を2周して行なわれ、途中、駐車帯からの発進加速も行なわれた。

試乗の第一印象は、それほどハイブリッドを感じさせないものだった。しかし、それはGVW25トンの大型トラックと乗用車の20倍近くの重量差を考えるとムリもない。例えばプリウスのような、モーターによる圧倒的な加速感はない。もちろんモーターは専用の大トルクのものを使用しているが、電池容量のことをを考えたマイルドなハイブリッドだ。
それでも、高速走行からの1回の減速や発進加速では、数パーセントのバッテリー蓄電量の増減があり、確実にハイブリッドが効いていることが窺える。

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東名の東京―小牧間で行なった実証実験(ハイブリッド車と従来車の2台を同時に走らせた)では、10%の燃費向上が確認できたという。同社ではさらに15%程度までの向上を目指している。日本の物流はトラック輸送のウエイトが大きいだけに、将来に向けた革新的な技術の一歩と言える。

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