知っておきたい尿素SCRとアドブルーの話 その2
しかし、こうした緩慢な燃焼は、黒煙(もうひとつの主要規制物質であるPM/パティキュレートマター)の発生や燃費の悪化につながります。よく言われることですが、高温の完全燃焼状態では、PMの発生は少なく燃費も良いけれどNOxが多く発生。低温燃焼では、NOxは少ないけれど、PMが生成されやすく燃費も悪化するという、いわゆるトレードオフ(背反事象)関係が存在します。そしてエンジン本体だけでの規制物質の低減は、今回の排ガス規制の厳格化によって限界を迎え、後処理装置による対策が求められることになりました。そこへ満を持して登場したのが尿素SCRというわけです。
尿素SCRは、アンモニア(NH3)がNOxに対して強い還元力を持つことを利用した後処理装置です。アンモニアによる還元はすでに火力発電所などで実用化されていました。しかし自動車の場合には、劇物であるアンモニアを搭載するのは危険なので、代わりに無害な尿素水溶液(尿素の32.5%水溶液=アドブルー)を排気管内に添加し、加水分解でアンモニアを生成。反応促進のためのSCR(選択還元触媒)を利用して、NOx(NOとNO2)を無害な窒素(N2)と水(H2O)に還元する仕組みです。(つづく)
画像は、共に三菱ふそう新型キャンターの広報資料より