ダイムラートラックが2025年9月に日本市場への投入を発表した大型トラック「アロクス」「アクトロス」の重量物搬送仕様。輸入販売を担うワイ・エンジニアリングが同年10月の「ジャパンモビリティショー2025」で公開した日本仕様1号車を徹底レポートしました。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
アロクスSLTはどんなクルマ?
「アロクス」「アクトロス」の重量物運搬用トラクタは、ドイツでは重量物運搬車を意味する「Schwer Last Transporter」の頭文字をとり「アロクスSLT」「アクトロスSLT」と呼ばれている。アロクスSLTはキャブ幅2.3mでリアリーフサス、アクトロスは同2.5mでリアエアサスなのが特徴だ。
日本仕様1号車となる「アロクス4763」はアロクスSLTのラインナップの頂点に君臨するモデルで、「47」は車両総重量(車重+第五輪荷重)47000kg、「63」は630PS級エンジン搭載車という意味。連結車両総重量(トラクタ総重量+トレーラ総重量)は250トンを許容。これは現在の国内市場では最強クラスとなる。
エンジンは最高出力625PSと最大トルク306kgmを発揮する15.6L直6のOM473型で、トランスミッションはダイムラー製16段AMT「パワーシフト3」を搭載。さらにエンジンとトランスミッションの間にはフォイト(現ドリブンティック)製「ターボリターダクラッチ」を搭載する。
ターボリターダクラッチはフルードカップリング(流体継手)と流体式リターダ(補助ブレーキ)を一体化させた動力伝達装置で、大重量を容易に動かす膨大なトルクと、それを止める強力な制動力を両立。これは競合車に設定のないベンツ製重量物運搬用トラクタだけの強みとなる。
ユニークな車軸配置と日本独自のキャブ
アロクスSLTは特装用大型トラック「アロクス」をベースに重量物運搬用のシャシー改造を施したもので、大重量トレーラ牽引時の軸重分散とトラクション最適化のため3軸6×6総輪リーフサスシャシーの前軸と後前軸の間にエアサス車軸を追加して前1軸、後3軸の4軸8×6駆動としているのが特徴。
追加車軸は非駆動のデッド軸で、車軸追加により旋回性能が低下しないようステア機構も備わる。
車両全高を保安基準で定められた3800mm未満に抑えるため、キャビンは欧州市場向けよりルーフが低いセンタートンネル段差320mmの「クラシックスペースキャブ」を日本独自に採用。全幅も2500mmに収まるようアレンジされる。
ちなみにホワイトの車体に赤いフロントグリルの「日の丸カラー」は、日本向け公道モデルの1号車としてダイムラーが提案したものだという。
日本向けモデルのラインナップ構成は?
今回取材した日本仕様1号車は車軸配置やリアクーリングシステムなど「全部のせ」に近い仕様。すべてがこの形態で導入されるわけではなく、車軸配置は8×6のほか、6×4、6×6、8×4、8×8も設定。エンジン出力も625PSのほか、578PS、517PSを設定し、用途・目的に応じて受注生産される。
日本向けモデルは許容連結車両総重量120トン以上からの設定で、キャブもクラシックスペースキャブのみ。ちなみにアクトロスSLTは国内の重量物輸送で使用例が皆無となるリアエアサス仕様のトラクタとなるため、詳細の検討はこれから。まずはアロクスの提案を先行させるという。
プラントや発電設備、橋梁、鉄道車両などの輸送に不可欠な重量物運搬用トラクタ。このジャンルから国産メーカーが撤退して久しく、新車の調達はスカニアやボルボに限られるなか、かつてこのジャンルの絶対王者として君臨したベンツの再上陸に熱視線が注がれるのは必至。今後の展開も要注目だ!
【画像ギャラリー】室内写真もあるよ! アロクスSLT日本仕様1号車のディティールをチェック!(8枚)画像ギャラリー











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