データ・テックの「第1回SRグランプリ」から
一昨日は、東京都蒲田の大田区産業プラザPiOで開かれた㈱データ・テック主催の「第15回SRお客様交流会」なるイベントを取材してきた。データ・テックというのは、日本で初めてドライブレコーダーを実用化した企業として知られ、「動きを把握する」技術をコアに、さまざまな製品を開発。特に自社ブランドであるセイフティレコーダ(=SR)は、自動車版フライトレコーダとして「いつ」「どこで」「どういう」挙動をしたかを解析し、安全運転や事故予防、業務改善に活用されている。
業務用の商品がメインとあって、運送事業者などユーザーが集う今回の催しでは、「安全への取り組みについて」の講演やデータ・テックの新製品のガイダンス、各分科会ごとの意見交換会、さらにユーザー同士の交流を図る懇話会と盛りだくさんのメニューが用意されていたが、中でも目玉は「第1回SRグランプリ」と称する安全運転日本一のドライバーを選ぶイベントだ。
新製品もいろいろ展示されていたが、これは近日発売のDVR‐Pro。5つのカメラで5つの画像を常時録画できるスグレもののドライブレコーダだ。もちろんセイフティレコーダとも連動できる
こちらは参考出品のフューエルコンパス「燃費備忘録」。給油時のフューエルメーターの電圧の変化を基に、走行前後や給油前後のフューエルメーターの電圧変化から燃料消費量や燃料給油量を自動で算出し記録するという
「ちょっと待ってよ、安全運転なんて、客観的かつ定量的に評価できるもんじゃないでしょ、それで日本一を決めるなんて無理があるんじゃないの?」という疑問を抱く人も多いと思うが、ごもっともです、ごもっともですが、そこがデータ・テックのセイフティレコーダのキモなんですね。前述の動きを把握する技術、平たくいえば振り子の原理を応用したセイフティレコーダは、ドライバーの「ブレーキ」「停止」「ハンドル」「右左折」「スムーズ」の5つの日常的な運転操作項目について、データ解析ソフトによって厳密に診断、安全運転の度合いを点数できちんと採点してくれるのである。
今回の「第1回SRグランプリ」には、全国のセーフティレコーダユーザーの中から、企業者数58社、営業所数87箇所、そしてドライバー数826名が参加。グランプリの評価基準は、SR診断データによるランキングで、さらにSR得点にデータ提出率を加味して算出したそうだが、厳正なるSR解析審査の結果、小型トラック部門は、第1位㈱カントラロジ98.8点、第2位前原運送㈱98.1点、第3位山口運送㈱98.0点。中型トラック部門は、第1位㈱ロジパルエクスプレス95.5点、第2位高山運輸㈱94.2点、第3位新雪運輸㈱94.0点。大型トラック部門は、第1位㈱明送98.7点、第2位㈱モンリク97.1点、同率第2位新雪運輸㈱97.1点という結果。またドライバーに与えられる個人賞は、小型トラックが、第1位平田耕時(前原運送西宮営業所)99.8点、第2位茶圓亮(山口運送西宮営業所)、同率第2位水口徹(山口運送西宮営業所)99.7点、同率第2位松平雄希(前原運送西宮営業所)99.7点、第5位増田成紀(ピアノ運送静岡営業所)99.6点。中型トラックが、第1位西田淳二(高山運輸阪神営業所)99.9点、第2位林淳一郎(高山運輸阪神営業所)99.7点、同率第2位西村繁(ワイズトランスポート中九州DDC)99.7点、第4位宮副貴文(三友通商中九州DDC)99.5点、第5位菅野貴浩(高山運輸阪神営業所)99.4点。大型トラックが、第1位野川親美(モンリク本社)99.8点、第2位重松健一(コバヤシライン本社)99.7点、第3位奥田恭久(コバヤシライン本社)99.6点、第4位遠藤正則(明送守谷営業所)99.3点、同率第4位笠原一明(東電物流上尾事業所)99.3点という結果になった。
デジタコやドライブレコーダは、トラックドライバーを管理する(=縛る?)機器でありシステムである側面があることは否めないし、これまで管理する側=経営者側のメリットばかりが訴求されてきたキライがあるが、これからは「いかにドライバーをサポートするか」といった観点が不可欠になると思う。ドライバーを管理するという発想ではなく、あくまでもドライバーの仕事を支援するといった発想だ。トラックドライバーは運送事業者の最も大切な財産だから、ドライバーを守り、運転操作をサポートし、さらに業務の改善を図っていくことは、労使双方にメリットをもたらすはず。セイフティレコーダによる安全運転の追及は、まさにそれを具現化したものだし、会社とドライバーが一体になって安全運転日本一をめざす「SRグランプリ」は、その象徴と言えるだろう。「来年はもっと高得点を狙います!」。入賞したトラックドライバーの言葉は、とても清々しいものだった。
大型トラックの個人別で優勝したモンリクの野川親美ドライバー。99.8点という高得点にもかかわらず、「さらに上を目指したい!」。
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