ユーチューブなどでトラックドライバーの日常を伝えるトラック系インフルエンサーが増えてきたが、バッテリーEV(BEV)専門のトラック系ユーチューバーがBEVトラックで世界一周に出かけるという。
メルセデス・ベンツの「eアクトロス600」を相棒に、約1年かけて世界を巡る計画で、BEVトラックによる地球一周は達成すれば史上初となる見込みだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG
EVトラックで世界一周!! トラック系ユーチューバーが史上初の挑戦
メルセデス・ベンツ・トラックスは、プロのトラックドライバーでありコンテンツクリエイターのトビアス・ワグナー氏との共同プロジェクトに着手した。ワグナー氏の別名「elektrotrucker」はトラック系ユーチューバーの他、様々なプラットフォームで活躍しており、フォロワーは16万人を超えている。
ワグナー氏はメルセデス・ベンツの長距離輸送用大型トラック「eアクトロス600」を使って、世界一周旅行を企画している。これまでのところ、純電動トラックで地球を一周した人はおらず、成功すれば史上初となる見込みだ。
35カ国を横断する約45,000kmのルートで、市販車の公称値として500kmの航続距離を謳うeアクトロス600だが、各地で最大80回のフル充電を予定しているという。全行程の走破におよそ1年間を要する遠大な計画だ。
プロジェクト用のeアクトロス600は4月中旬にメルセデス・ベンツのヴェルト向上をラインオフしたばかりの新車で、スペアタイヤキャリアにモバイル充電ユニットを内蔵したり、シングルタイヤを装着したり、フロントに補助ヘッドライトを追加したりする改造を行なった後、ブリス・モービル社が特別に製造するキャンピングカー風のボディを架装する。旅の間、ここが移動式の基地となる。
車両の完成とプロジェクトの詳細発表は2026年夏ごろになる予定で、出発は同年秋を予定している。
市販のトラックを遠征車両に
メルセデス・ベンツのeアクトロス600は長距離輸送用に開発されたトラックだ。搭載するバッテリーの総容量は600kWhを超えており、これが車名の「600」の由来にもなっている。高効率の電動アクスルにより途中充電なしで500kmを走行する。
遠征用の車両は居住スペースを備える4×2フラットベッド車となるため通常仕様より大幅に軽く、総重量40トンの4×2トラクタという条件で算定している航続距離のメーカー公称値を超えることが見込まれる。
メルセデス・ベンツ・トラック・ドイツのクリスチャン・ヴィルツ氏は次のように話している。
「電気トラックによる長距離輸送は欧州の多くの地域では既に現実のものとなっており、インフラさえあれば機能することを、お客様が日々の業務により実証しています。
トビアスが並外れた冒険旅行でどんな経験をするのか楽しみです。BEVトラックによる長距離輸送が一部の国では既に始まっているいっぽう、多くの地域ではそれを実現するために必要な条件がまだ整っていないことも明らかになると思っています」。
日常業務から実践的な経験を伝える
ドイツ・ニーダーザクセン州の運送会社に籍を置き、2024年からはBEV専門のトラックドライバーとしてフルタイムで働いている同氏は、その経験をユーチューブで共有している。
会社はディーゼル車からBEVへの移行を初めており、独自の充電ステーションも設置した。ワグナー氏は様々なメーカーのBEVを運転しており2025年からはeアクトロス600も担当している。これまでに電気のみで走った距離は20万kmに及ぶという。
BEVトラックの可能性と現実を伝えるインフルエンサーのワグナー氏にとっても、この挑戦は簡単なものではなく、発表に当たって次のようにコメントしている。
「これまでに22カ国を旅してきた中で、確実に言えることが一つあります。それは長距離輸送においてBEVトラックは問題なく機能するということです。最後の懐疑論者を納得させるために、私はジュール・ヴェルヌの足跡をたどることにしました。ただし、『八十日間世界一周』ではなく世界の80か所の充電ステーションを巡る旅です。
この冒険には巨大なバッテリー容量と効率的なパワートレーン、豊富なボディオプションが必要です。だからこそ、eアクトロス600は最適な相棒です。この車両を使って、大型BEVトラックによる輸送が既に実用化されている技術であることを世界に示したいと思います」。
同氏は、自身の経験を定期的に報告することで、大型商用車による旅がどんなものになるかフォロワーに洞察を提供する予定だ。
旅のルートは、整備された高速道路から、長く険しい未舗装路、そして人里離れたところまで、様々な地域を巡る。全ての地域でBEVトラックに対応するインフラが整っているわけではないため、気候、地形、インフラなどの課題に対応するため、綿密な計画と準備が必要となる。
世界一周の大冒険となるが、焦点を当てるのは記録を達成することではなく、より実用的な疑問に答えることだ。つまり、最新のBEV大型トラックは実際にどこまで走れるのか、そして最も大きな課題・障害・偏見とは何なのかという疑問だ。
【画像ギャラリー】メルセデス・ベンツ・トラックスの「eアクトロス600」とトビアス・ワグナー氏(16枚)画像ギャラリー



















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