MANは車両総重量16トン級のオールラウンダーな中型BEVトラック「eTGM」を発表した。これで同社の電動ラインナップに切れ目がなくなり、12トン級から50トン級までつながった。
新型eTGMのバッテリー容量は最大320kWhで、航続距離は同480km。地場輸送や公共セクター、建設系特装車に最適なクラスだ。16トン級のBEVトラックは、特にEU圏の都市部で通行料金の割引や排出削減目標への貢献が期待されるという。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus
MAN、中型BEVトラック「eTGM」を発表
ドイツの大手トラックメーカーで、フォルクスワーゲンの商用車部門・トレイトンに属するMANトラック&バスは2026年5月13日、新型「eTGM」トラックを発表した。
欧州の車両総重量(GVW)16トン級中型トラックは地場~中距離の集配送用途や特装車などを担うクラスで、同社のポートフォリオの中では唯一、バッテリーEV(BEV)の設定がなかった。
eTGMの登場により、軽量級中型車(GVW12トン級)の「eTGL」と、大型車(GVW20トン級単車~GCW50トン級トラクタ)の「eTGS」および「eTGM」の中間にあったギャップが埋まった。同社のBEVはモジュール化によるクロスシリーズをコンセプトにしているそうで、大型車と共通のモジュールを活用しつつ総重量で12トンから50トンまで切れ目のない電動ラインナップが完成した。
新型eTGMはイタリアのミラノで開催された商用車見本市「トランスポーテック・ロジテック」で世界初公開されたのだが、欧州のトラック事情に詳しい人だと、「eTGMを世界初公開」と聞いて「あれっ?」と思うかもしれない。
実は2018年ごろにも「TGM」を電動化した「eTGM」が登場している。旧・eTGMは量産車ではなく、電動化に向けた知見を蓄積するためのコンセプト車に近い実験用車両で、パワートレーンもトランスミッションなしの固定レシオ・1モーター式だった。
その後、TGX/TGS/TGLに電動バージョンが登場し(VWグループのOEM供給車となるTGEも含めて)、量産車としてはTGM系だけ電動化の「穴」となっていたのだが、その穴も塞がれた。(旧)eTGMに始まり(新)eTGMにより完成したのがMANのBEVラインナップといえるだろう。
燃料高騰で中型BEVトラックが魅力的な選択肢に?
eTGMの許容総重量は16.01トン(オプションで16.5トン)で、積載量は架装等によって変動するものの、最大でおよそ10.6トン。特装車のベースシャシーとしても需要が高いクラスであり、幅広いボディに対応できる余地を残した。
多くの欧州市場ではゼロエミッション車は都市部での通行料金の大幅な割引などを受けられるといい、EUによる大型商用車のCO2排出削減目標など、規制要件の達成にも資するものとなる。
eTGMの設計において一貫してこだわったのは都市部での集配送や地場輸送の要件を満たすことだ。燃料価格が高騰し、排ガス規制は強化され、騒音規制も拡大された。都市部で活躍する中型BEVトラックは経済的にも環境的にも魅力的な選択肢となっている。
新型eTGMはまさにこうしたニーズに応えるためのトラックだ。高い積載量を備え、トレーラをけん引することもでき、連結総重量は最大33トン。優れた柔軟性と、非常に効率的な電動パワートレーンを備える。
同社でセールス&カスタマーソリューションを担当する役員のフリードリヒ・バウマン氏は次のように話している。
「eTGMによって都市部や地域配送に最適な電動ソリューションを実現します。これにより弊社の電動トラックのポートフォリオが完成し、MANはバッテリーEV商用車を全レンジで提供できるようになります」。


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