ボルボの新型エンジンはプラットフォームから全面刷新!! 将来は水素燃焼エンジンも? 【ボルボの新型パワートレーン(後編)】

ボルボの新型エンジンはプラットフォームから全面刷新!! 将来は水素燃焼エンジンも? 【ボルボの新型パワートレーン(後編)】

 スウェーデンのボルボ・グループは大型トラックの主力エンジンとなる13L級エンジンの刷新を発表した。新世代のバッテリーEVとともに、今後数年間を掛けてグローバルに製品ラインナップを強化する。

 新型エンジンは軽油と代替燃料に対応するディーゼル版のほか、天然ガスやバイオガスに対応するガス版もあり、将来的には水素を燃料とすることも視野に入れている。

 プラットフォームから刷新された新型エンジンは、各国が強化している内燃エンジンの排ガス・騒音規制などに対応し、ディーゼルエンジンという「枯れた最新技術」がネットゼロ実現に向けて柔軟性を提供する。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/AB Volvo

ボルボ、新型パワートレーンをグローバルに展開

ボルボの新型エンジンはプラットフォームから全面刷新!! 将来は水素燃焼エンジンも? 【ボルボの新型パワートレーン(後編)】
新型D13型エンジンのウォームサイド(ターボチャージャーなどがある側)

 ボルボ・トラックスは2026年5月12日、同社が掲げる2040年までに温室効果ガス排出を実質でゼロにするという目標を達成するため、パワートレーン技術に数十億スウェーデンクローナ(数百~1000億円)を投資し、今後数年間にわたってグローバルな製品ラインナップを強化すると発表した。

 これに合わせてプラットフォームから全面刷新した排気量13L級の新型エンジンを発表している。13Lエンジンは大型トラックの主力エンジンで、燃費効率を高めたほか、複数の「再生可能燃料」と、将来的には水素の燃焼にも対応するという。

 なお、ボルボはこれに先立って、北米市場で次期排ガス規制に対応する新型エンジンを公開していた。

 電動パワートレーンとしては最大700kmの航続距離を持つ長距離輸送用のバッテリーEV(BEV)トラックなど、第2世代型のBEVを既に発表しており、あらゆる市場と輸送セグメントにおいて将来にわたって通用するものになるという。いっぽう、燃料やインフラ、顧客の志向は市場や地域によって大きく異なるため、商用車で世界最大手のグループの一つであるボルボには効率的なパワートレーンを幅広く提供することが求められる。

 輸送部門の脱炭素化を推進するためボルボは3つの技術を同時に推進する3パス戦略を展開している。その3つとはバッテリーEV(BEV)、燃料電池電気自動車(FCEV)、内燃エンジン(ICE)で、ICEではグリーン水素(再生可能電力で製造する水素)、バイオガス(バイオLNG)、バイオディーゼル、HVO(水素化処理した植物油で軽油と同じように扱える)などの再生可能燃料を用いることで実質的なゼロ排出を実現可能だという。

 同社社長のロジャー・アルム氏のコメントは次の通りだ。

「輸送業界の脱炭素化を加速する必要があり、新型パワートレーンが非常に重要になっています。今回、私たちがローンチする新技術は、運送会社にとって『二つの世界』で最高のものです。

 一つは弊社の第2世代型となる電動トラックで、ほとんどのケースで従来型のディーゼル車を置き換えることができます。しかしながら、一部の地域と輸送セグメントではICEを使いながらCO2削減を進めなければなりません。

 このため、もう一つの選択肢である新型エンジンが柔軟性を提供し、これにより全ての地域とセグメントのお客様を満足させます。また、エンジンプラットフォームを一つに統合することで量産効果が得られ、優れたシナジーを発揮するでしょう」。

BEVトラックでリードしつつ新型エンジンを投入

ボルボの新型エンジンはプラットフォームから全面刷新!! 将来は水素燃焼エンジンも? 【ボルボの新型パワートレーン(後編)】
ボルボはBEVトラックで市場をリードしてきた

 ボルボはバッテリーEV(BEV)トラック分野では2019年から市場をけん引してきた。長距離輸送用を謳う大型BEVトラックは1度の充電で700kmを走る。それ以外のトラックも第2世代型へと改良した。BEVトラックだけでグローバルに8モデルをラインナップし、既に6000台以上を販売している。

 いっぽう、同社のネットゼロ目標においてはICEも重要な役割を担っている。モデル名(D13型/G13型)こそ踏襲するものの、新型エンジンは全く新しいプラットフォームを採用している。

 両者ともバイオディーゼルやバイオガスなどの再生可能燃料に対応しており、ICEによるネットゼロに向けた道を切り開く。また、ガス燃料の次のステップとして水素を燃焼する水素エンジンを開発しているといい、既に公道での試験を開始しており、2030年までに商用化を予定する。

 新型エンジンでは従来型に対して最大4%の燃費向上を実現した。より高い出力とより少ない燃料消費、排出ガスと騒音の低減、そして優れたドライバビリティの全てを提供する。

 欧州の「ユーロ7」や米国の「EPA2027」など、各地でディーゼルICEの排ガス規制が強化される予定だ。新型エンジンは各国の排ガス規制や騒音規制など法規要件を満たすか、それを上回る性能を発揮するという。

 同社で製品管理責任者を務めるヤン・ヘルムグレン氏は次のように話している。

「これらの新型エンジンは、これまでで最も燃費効率の高いパワートレーンであるとともに、ボルボの内燃機関を未来へ導くものです。ディーゼルエンジンで燃焼可能なあらゆる燃料に加えて、天然ガスや将来的には水素燃料にも対応する柔軟性により、世界中の全てのお客様にネットゼロという可能性を秘めた高効率トラックを提供できます」。

次ページは : ボルボ新型エンジンの特徴と「ファクト」

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