欧州の大型車CO2削減義務と改正案
欧州ではトラックメーカーに対して新型車のCO2排出削減が義務付けられており、目標を達成できなかったメーカーには巨額の罰金を課す制度がある。最近のレポートによると、一部のメーカー(イヴェコやダイムラーなど)は達成に向けて更なる努力が必要という状況だった。
その削減目標だが、2019年比で新型車のCO2排出量を2025年までに15%、2030年までに45%、2040年までに90%削減しなければならない。このため各社はZEVの販売比率増加と、内燃機関の燃費向上の両方に取り組んでいる。
この規制の特徴となっているのが、目標を早期達成した分を後年の排出量と相殺するクレジット制度で、これまでは目標値を直線で結んだラインを下回った分が各年の獲得クレジットだった。例えば2026年なら約20%となるため、2019年比で22%削減したメーカーは2ポイント分を後年の排出量から引くことができる。
今回の変更で2025年から2029年の目標が撤廃され、この期間に15%以上削減した分は全てクレジットとなる。獲得するクレジットは目標値を直線で結んだラインではなく、目標値そのものを下回った分になる(階段状のライン)。2030年以降の目標値は維持されるが、メーカーはクレジットを活用することで要件を大幅に緩和することが可能だ。
先の例だと2026年の獲得クレジット(2ポイント)が改正後では7ポイントに増加し、従来は0ポイントとなる翌年以降も継続する。従ってこのメーカーは次の目標年度である2030年まで何もしなくても4年で28ポイントの累積クレジットを獲得し、同年の目標値である45%と相殺が可能となる。差し引きすると2019年比で17%のCO2排出削減を達成できれば、2030年の罰則を回避できる計算だ。
欧州委員会も充電インフラの遅れを理由に今回の措置を正当化しているが、昨年トラックメーカー各社(DAFとルノーを除きフォードを加えた大型トラック6社)が共同で規制緩和を求める書簡を送っており、修正内容はその主張と一致するため、ACEAをはじめとする業界のロビー活動が奏功した形である。
改正後はディーゼル車でも燃費改善によって大量のクレジットを獲得できるため、メーカーにとって低排出車を早期導入するインセンティブになるいっぽう、ゼロ排出車のシェア拡大は遅れる可能性がある。
ゴールポストを動かし、後からルール変更するのは欧州の十八番とはいえ、環境保護団体などからの批判は強くなりそうだ。
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