2040年までに大型トラックからのCO2排出を90%削減することが求められ、事実上の「ディーゼルトラック禁止令」になると思われていた欧州連合の大型車CO2排出規制だが、このたび正式に緩和され、業界団体が歓迎している。緩和の理由は、「ゼロエミッション車はあるがインフラ整備が進んでいない」というギャップのためだ。
目標値自体は維持されるため、今回の緩和は「調整」であって包括的な「見直し」ではない。ただ、業界団体は見直しを加速する必要性も訴えており、さらなる緩和に向けてロビー活動を強めている。欧州お得意の「後からルール変更」には批判も集まりそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/ACEA・Scania CV AB
ACEAが大型トラックの「CO2規制」緩和を歓迎 更なる見直しも?
欧州連合(EU)が大型車のCO2排出規制の緩和を正式に採択したことを受けて、自動車メーカーなどが加盟する欧州自動車工業会(ACEA)は2026年4月7日、この合意を歓迎するとともに、道路輸送の脱炭素化における自らの役割を明確にする機会だとして、更なる見直しを進めるように主張している。
後述するが、EUは大型車のCO2排出量に基準を設け、削減目標が未達となったトラックメーカーに罰金を課す制度を開始している。2025年12月にこの制度を緩和するパッケージ案が示され、翌年2月に加盟国が承認していた。ACEAは「商用車部門にとって極めて重要なものであり、規制遵守に向けて柔軟性を提供するもの」と評価している。
規制の対象は大型車だが、インフラ整備が進む大型バスは除外されており、主に大型トラックが対象となる。この制度により欧州メーカーに罰金が課される可能性があるいっぽう、電気自動車の普及が進んだ中国のトラックメーカーが相次いで欧州市場に参入していた。
メーカー側のACEAが制度の修正を求めた背景としては、大型ゼロエミッション車(ZEV)における「ギャップ」がある。トラックメーカー各社は既にZEVをラインナップしているもののインフラ整備が進まず、電動化の先進地域とされる欧州でも16トン以上の大型トラックに占めるZEVの割合(登録台数)は2%に過ぎない。
(余談だが、中国では助成金の駆け込み需要もあって単月で50%を超えた)
このため野心的なCO2削減目標と、インフラ不足による脆弱な事業環境との間でギャップが拡大している。インフラ側の責任をメーカー側に負担させる制度は、業界団体としては受け入れられないというわけである。
ACEAの現会長は商用車メーカーであるダイムラー・トラックの社長兼CEOのカリン・ラドストロム氏が務めているが、同氏は次のように話す。
「商用車業界は脱炭素化に強力に取り組んでおり、多額の投資を行なってきました。今回の動きを大いに歓迎します。CO2排出目標の超過達成が公正に評価されることは、重要な是正措置です。
しかし、これだけではCO2ニュートラルへの移行には不充分です。野心的な目標は、インフラ整備と企業活動における経済性を伴うものでなければなりません。私たちが共に前進するため、この規制は今すぐに包括的な見直しを必要としています」。
今回の緩和は小規模な「調整」であり、今後予定されている「レビュー(見直し)」ではない。規制目標とインフラ整備状況のギャップを根拠に、ACEAは見直しについても加速することを強く主張している。

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