自動運転トラックに異常事態が発生したら!? KDDIなどが国内初の遠隔監視・異常検知・車両退避の実証に成功

自動運転トラックに異常事態が発生したら!? KDDIなどが国内初の遠隔監視・異常検知・車両退避の実証に成功

 トラックの自動運転が注目されているけれど、もし、その走行中に故障や事故などの異常事態が発生したら一体どうなるの?

 そんな懸念を誰しも抱いたことはあると思いますが、このほどKDDIなどが国内初の自動運転トラックの遠隔監視・異常検知・車両退避の実証に成功しました。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
画像/KDDI株式会社・フルロード編集部

4社が手を携えて走行中の異常事態に対応

自動運転トラックに異常事態が発生したら!? KDDIなどが国内初の遠隔監視・異常検知・車両退避の実証に成功
実証実験の全体図

 トラックの自動運転の社会実装に向けては、自動運転技術の向上に加え、車両に適切かつ迅速に対応するための遠隔監視体制を整備することが求められている。

 遠隔監視の業務には、異常が発生した自動運転トラックが道路上とどまり続けることで発生する交通渋滞や二次的事故の発生を回避したり、輸送の遅延を回避する役割が課せられている。

 KDDIは2025年7月15日、 T2、三井住友海上、日本郵便と共に、新東名高速の新静岡ICから新富士IC間を走行中の自動運転トラックを遠隔監視し、異常検知・現場駆け付け・車両退避する一連のオペレーション実証に国内で初めて成功した。

 実証に参加した4社は、自動運転トラックの異常事態発生時に各社が担当する業務の責任範囲を明確化し、連携体制を構築。

 KDDIは遠隔監視システムを開発し、自動運転トラックの状況をリアルタイムに監視するオペレーターの役割を担い、緊急対応や現場駆け付けを担当する三井住友海上のオペレーターへ情報提供した。

 今回、異常事態発生時から自動運転トラック退避までの対応が滞ることなく行なわれ、4社で構築した体制が機能することが確認された。

実証試験の詳細

自動運転トラックに異常事態が発生したら!? KDDIなどが国内初の遠隔監視・異常検知・車両退避の実証に成功
KDDIによる遠隔監視の様子

遠隔監視システムでの情報連携

 本実証では、新静岡ICから走行を開始したT2の自動運転トラック(自動運転レベル2相当)に異常が発生した状況を想定して行なった。KDDIのオペレーターと三井住友海上のオペレーターはそれぞれの拠点からクラウド上にある遠隔監視システムにアクセスし、自動運転トラックから送られてくるアラートと共に車両や周囲の映像などの情報を取得できることを確認した。

異常検知から駆け付け手配・車両退避までの迅速な対応

 三井住友海上のオペレーターは遠隔監視システムで現場の状況を確認しながら緊急通報や駆け付け・レッカー手配のオペレーションを模擬的に実施した。

 日本郵便が提供する高速道路外の退避場所に、車両を誘導するオペレーションを行なった。遠隔監視システムでの情報連携と4社で構築した体制により、状況確認にかかる時間短縮と各社オペレーションがシームレスに連携できることを確認できた。

 高速道路走行中の自動運転トラックに異常が発生した際に、緊急停止した車両を安全な場所に迅速に退避させることで、高速道路の安全を確保しつつ、自動運転トラックの運行管理者は輸送事業の継続が可能となる。

 なおKDDIは2024年5月からAI時代における新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX(ワコンクロス)」を始動したが、今後、本実証を通じて培った技術をWAKONX Mobilityに組み込み、モビリティ運用の効率化・高度化を加速させることで、安心安全な自動運転社会の実現を目指していくとしている。

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