最近、災害への備えとして家庭用のポータブルバッテリーが注目を集めているが、ドイツの大手商用車メーカー・MANは同社の顧客向けに大型EVトラックにも給電できる自動車用のポータブルバッテリーを提供する。
最大容量は1100kWhで、ポータブルと言っても人力で持ち運べる大きさではないが、トラック駐車場への設置や太陽光発電システムとの接続など、使い方によっては商用車の電動化を強力に支援する機器になりそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus
大型トラックに給電可能なポータブルバッテリーが登場
ドイツの大手商用車メーカーで、フォルクスワーゲンの商用車部門・トレイトングループに属するMANトラック&バスは2025年7月22日、同社の顧客向けに自動車用のポータブルバッテリー「スマート・チャージング・キューブ」(以下、キューブ)を発売した。
キューブはAWオートモーティブが開発しているもので、同社と提携してバッテリーEV(BEV)商用車向けの蓄電・充電ソリューションを提供する。
最大1100kWhの容量を備えるキューブは、ポータブルとは言っても相応の大きさ。ただ、大型車への給電にも対応するためBEVの導入を考えている運送会社にとっては新たなオプションとなりそうだ。
例えば運送会社の駐車場や整備工場などへの設置のほか、電力網へのアクセスが限られる工事現場などにキューブを設置することも考えられる。また実状に応じて32Aから630Aの主電源に接続することも可能だという。
キューブは本質的にはパワーエレクトロニクスと、BEV用充電ステーション機能を備えた大容量バッテリーで、容量は500kWhから1100kWhが用意されている。
キューブ1基当たり1~4の充電器を実装することができ、最大で400kWでの給電に対応するほか、外部のMCS充電ステーションへの給電も可能で、この組み合わせの場合、BEV大型商用車用に開発が進められている1000kWでの充電も可能となるそうだ。
また、キューブは太陽光発電システムなど、自家発電した電力と組み合わせることもできる。
これによりキューブを通じた様々な機能を実現でき、例えば電力のピークシフトや双方向充電、停電や災害への備えなど、運送会社におけるさまざまな活用方法が考えられ、運送業界がトラックの電動化を進めるためのモチベーションの一つになるかもしれない。
キューブはMANの顧客向けの独占オプションで、購入の他、リース、レンタルも可能だという。
【画像ギャラリー】MANの最新型BEVトラックと「スマート・チャージング・キューブ」(3枚)画像ギャラリー
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