今年1月初旬に開催された「ダカールラリー2025」への挑戦を終えた日野チームスガワラ。結果を見れば昨年のトラック部門総合6位から今年は総合13位と順位を落としたものの、終盤に発生した絶望的なトラブルを乗り切って、日野自動車の連続完走記録を34回に延ばすことに成功した。
波乱に満ちた今大会をチームメンバーはどのように乗り切ったのか? 1月27日に日野自動車本社で行なわれた参戦報告会から日野チームスガワラメンバーが語った大会の裏側を2回にわたってお届けする。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部・日野自動車・ASO
「ダカールラリー2025」に挑んだ日野チームスガワラの軌跡
ダカールラリー2025は1月3日にサウジアラビア南西部のビーシャ近郊からスタートし、10日に北部のハイルでの中間休息日を挟んで17日に南東部のシュバイタでゴールを迎える行程であった。
前半戦、トラック部門15位でプロローグランを終えた日野チームスガワラは、大会序盤に設定されたメカニックのサポートなしで2日間に渡る競技に挑むマラソンステージ「48hクロノ」で、トラック部門総合6位に浮上すると、その後も安定した走りを見せ前半を総合7位で終える順調な走り出しをみせた。
しかし、前半戦とは打って変わって後半戦はトラブルが続出する。
まず後半戦初日のブレーキトラブルに始まり、2日目のアル・ドゥワディミ〜首都リヤドに向かう「SS(スペシャルステージ=競技区間)8」では、中間地点でフルタイム4WDの前後輪に駆動力を分配する副変速機付きトランスファーの油温が上昇。内蔵するセンターデフロックが入らないトラブルにより、トランスファーの交換を実施することになった。
また、翌日のリヤド~ハラド間の「SS9」では、穴を飛び越えた際に過度な負荷がかかったことでトランスファーケースを破損。メカニックは使い切った2基のトランスファーから部品を選定し「ニコイチ」の修復を余儀なくされた。
さらに、ゴールまであと2日となったシュバイタを起点としたループコースの「SS11」で、ハイギアを多用し騙し騙し走行してきたトランスファーが完全に壊れ、ゴールから20kmの砂丘の頂上で亀の子状態となってストップしてしまう。
イタリアのライバルチームの手助けを得て、車両を平地に降ろすことには成功したが、なぜか衛星携帯電話の電波も届かず、アシスタンスチームとの連絡もとれない。
絶望的な状況は迎えた日野チームだが、乗員だけでさまざまな手を模索しながら、役に立たないトランスファーを外し、フロントデフ側のプロペラシャフトをトランスミッションへ接続、それをさらにセンターベアリング→リアアクスルに接続する2WD化を施すことでなんとか脱出に成功。
規定時間をオーバーしたため「SS11」はデイタイムリタイア(ペナルティにより総合順位は10位→14位へ後退)を喫すことになったものの、車両はアシスタンスチームの協力を得て夜中にシュバイタのビバークに到着することができた。
いっぽうメカニックは、修理のための部品をほぼ使い切っている状況で、最終日の出走時間を見据えながらトランスファーの修復や整備に挑むという正念場を迎えたが、夜通しの作業を経て出走時間のギリギリでパートタイム4WDとして車両を組み上げることに成功。
最後の「SS12」を無事走り切った日野チームスガワラは、最終的に総合13位でゴールを切ったのである。
後編に続く。
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