世界トップクラスの性能を実現か!?
第3世代FCシステムの出力は未公表なので、むろん『大型商用車向け』も同様だが、すでに第2世代システムを日野自動車の大型FCトラック「プロフィアZ FCV」(車両総重量25トン)に搭載、海外では米国・ケンワース/ピータービルトのトレーラ牽引用大型セミトラクタ(最大連結重量37トン)をはじめ、欧州や中国でも日本の大型トラックより重い連結重量の大型セミトラクタに搭載してきたことから、それらの市場要求に応えうる動力性能あるいはモア・パワーを提供するものとみられる。
また関係者によると、サイズは大型ディーゼル相当にまとめられているものの、FCシステムの重量ははるかに軽く(シリンダブロック風の筐体も単純なアルミ製カバー)、しかもシステム作動時の振動がないことから、エンジンマウントに相当する部品も簡素にできるため、シャシー重量の軽減に大きく寄与するという。
『2倍の耐久性能』については、「ディーゼルエンジン同等の性能でメンテナンスフリー」という抽象的な表現となっている。
FCシステムのライフスパンは「使い方によって変わる」(関係者)ということで、具体的に○○時間という形では公表していないが、第2世代は約1万5000時間といわれてきた。仮にその2倍の3万時間とした場合、トラックドライバーの年間拘束時間上限の3300時間で単純に割り算すると、ちょうど9年に相当する。その間がメンテナンスフリーなら画期的なことである。海外の次世代FCシステムのライフスパン目標値と比べてもなお20%上回ることから、当面においては世界最長となる可能性さえある。
なお、トヨタでは第3世代FCシステムとともに、予定経路上での水素消費・高電圧バッテリー放電・回生による充電などの電力収支を予測した上で制御に反映する「先読みパワートレイン制御」など、高度かつ先進的なエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、燃費(水素消費)をさらに向上させる方針という。
このEMSは、すでにFCEV実証車を用いた開発を進めているとのことで、システムの性格上、次期大型FCトラックに実装されるものと考えられる。
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