トラックの電動化で必要不可欠に? MANが大型車のバッテリー修理拠点を欧州に相次いで設立

トラックの電動化で必要不可欠に? MANが大型車のバッテリー修理拠点を欧州に相次いで設立

 ドイツの商用車メーカー、MANは欧州で「バッテリー修理センター」を順次ロールアウトする。既にドイツとスペインに修理のためのハブがあるが、今後2年間で多額の投資を行ない、事業展開する全市場に拠点を整備する予定だという。

 バッテリーは電気自動車の最も重要なコンポーネントの一つだが、大型トラック用となるとメガワット級の大電力を蓄え、重さも数トンに達するなど、扱いが難しい。安全のためには専門知識を蓄積するとともに、修理プロセスを標準化する必要がある。

 また、バッテリーに使われる資源の高騰・枯渇に対する懸念がある中、「リサイクル」の先にある「クローズド・ループ」を実現することが、商用車メーカーの目指す循環型経済のためにも重要となっている。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus

BEV商用車のバッテリー修理センターを各国に整備

トラックの電動化で必要不可欠に? MANが大型車のバッテリー修理拠点を欧州に相次いで設立
大型車のバッテリーを扱うため、従業員の防護も厳重

 フォルクスワーゲンの商用車部門・トレイトングループに属するドイツのMAN(マン)は、2024年から2025年に欧州各国に相次いで「バッテリー修理センター」を設立する。

 同社は2023年末に大型バッテリーEV(BEV)トラックを発売し、2024年中に納車を開始する予定で、すでにドイツのハノーバーとスペインのバルセロナにバッテリー修理のためのハブ(拠点)がある。

 今後2年間で多額の投資を行ない、イタリア、デンマーク/ノルウェー、オーストリア、ベルギー、オランダ、フランス、ポーランド、イギリスにもハブを整備する予定で、欧州ではさらに多くの国が続くかもしれない。

 MANがバッテリー修理のためのハブが不可欠だと考える理由は、最初のBEVトラックが2024年に納車されるからだ。MAN製の車両としては、BEVの都市バスは既に1000台が、同じくバンは2400台が欧州の公道を走っている。主力の大型トラックでも電動化が始まったことで、BEVの車両台数は今後数年で大幅に増加する。

 大量の電力を必要とする大型トラックのバッテリーでもサービスを提供するため、修理手順の標準化など準備を整える必要がある。

 MANトラック&バスの上級副社長でカスタマーサービスを担当するクリストファー・クンストマン氏は次のように話している。

 「バッテリー修理はMANにとって必要不可欠です。なぜなら、電気自動車の経済効率と運用にむけた準備を、高い水準で確保する必要があるからです。加えて、自動車用バッテリーの製品寿命を延ばし、いわゆる『クローズド・ループ』という考え方を適用することも重要です」。

 MANが最初のバッテリー修理センターを設立し、専門知識の蓄積を始めたのは2020年の事で、2018年に市場投入されたBEVバン「eTGE」のためだった。その後、MANの電動車は集配用トラックとして少量生産された「eTGM」が続き、バスの「ライオン・シティE」は2020年に量産化している。

 これらのバッテリー修理のために試行錯誤する中で、従業員を訓練し、インストラクションが作成され、現場に必要な要件も決定した。その専門知識はハノーバーからほかの市場へ水平移転することにも成功し、BEV商用車を展開する市場の全てでバッテリーの修理ハブを整備する方針だ。

 これにより修理のための輸送ルートが短くなり、高度な訓練を受けた従業員が常駐するため、所要時間が短縮され、車両のダウンタイムを最小化する。

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