トラックの死亡事故が激増! 前年比23%増の「極めて厳しい状況」も2024年問題で歯止め効かず

トラックの死亡事故が激増! 前年比23%増の「極めて厳しい状況」も2024年問題で歯止め効かず

 令和5年(2023年)の労働災害発生状況の速報値が発表された。全産業平均で死亡災害は減少しているが、「陸運業」は23.1%の大幅増……。特に「交通事故」が急増したほか、「墜落・転落」による死亡災害も過去5年で最多となり、労災防止団体である陸災防は「極めて厳しい状況」とする

 しかし、「2024年問題」で労働時間短縮が求められ、物流現場のトラックドライバーに負担が集中しており、さらに大型車の最高速度引き上げまで決定するなか、事故削減は見通せない。交通事故と死亡災害の増加に歯止めがかけられなくなっている。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
アイキャッチ画像/写真AC
図・表/陸上貨物運送事業労働災害防止協会

陸運業の死亡災害が一転して急増

トラックの死亡事故が激増! 前年比23%増の「極めて厳しい状況」も2024年問題で歯止め効かず
陸運業における死亡災害の発生状況(1~12月期速報値)。令和5年の死亡災害は過去5年で最多となった

 トラックドライバーをはじめとする陸運業の労働災害防止団体である陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)は、令和5年(2023年)の労働災害発生状況の速報値を公開した。

 「死傷災害」は減少したものの、「死亡災害」が前年比で大幅に増加した。

 1~12月の死亡災害は96人で18人(23.1%)の増加、同・死傷災害は14,967人で189人(1.2%)の減少となった。いずれも速報値で、一般的に確定値では死亡者数はさらに増えるため、死者が100人を超えるのは避けられない見込みだ。

 平成30年以降、死亡災害は減少傾向にあったが、このところ下げ止まっており、令和5年は一転して過去5年間の中で最も多い人数に急増した。陸運業の労災発生状況について陸災防は、「極めて厳しい状況」とする。

 死亡災害が大幅に増加した要因は「交通事故(道路)」の急増だ。前年より11人増加しており、陸運業の死亡災害の中で最も多く発生しいる。構成比でみても死亡災害全体の43.8%と、前年の39.7%を上回り半数近くに上っている。

 車体が大きく重量のあるトラックは、一たび事故になると命に関わる大事故につながりやすい。スピードの出し過ぎ、前方不注意、運転操作ミスによる事故が多く、交通事故による死亡災害の概要(一部)をみると、次のようなものがあった。

(追突事故)
●高速道路のサービスエリア付近の路肩に駐車中のトラックに追突した
●停車していた大型トラックに追突した
●トンネル出口付近にて渋滞していた最後尾のトレーラに追突した

(カーブでの事故)
●カーブにさしかかったところ、対向車線にはみ出し横転した
●下り坂のカーブを曲がり切れず片輪走行になり、ガードレールに衝突後横転した
●下り坂を走行した先の丁字路で左折したところ、トラックが横転した

(衝突事故)
●運転中、対向車線にはみ出し、対向車両と正面衝突した
●高速道路のトンネル内で追越車線を走行中、外壁に衝突した

(道路に降車してからの事故)
●単独事故で側壁に衝突しトレーラヘッドから出火、運転席から降りた際に後ろから走ってきたトラックにひかれた
●高速道路上で同僚の故障車から荷を積替え中、大型トラックが故障車に追突し、故障車と壁高欄にはさまれた
●高速道路上で接触事故を起こし、相手方と協議をしていたところ、大型トラックが相手方のクルマに激突し、吹き飛ばされた相手方のクルマに激突した

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