国土交通省は2024年1月26日、「トラックGメン」による集中監視月間の取組結果を公表し、貨物自動車運送事業法に基づく「勧告」を、Gメン設置後はじめて実施した。
勧告の対象となったのは元請運送事業者の「ヤマト運輸」と荷主企業の「王子マテリア」。国交省は、勧告・要請の対象となった事業者についてはGメンによるフォローアップを継続し、改善が図られなければ更なる法的措置の実施を含め厳正に対処するとしている。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
表/国土交通省
初の「勧告」2件など「集中監視月間」取組結果を公表
国土交通省は令和5(2023年)年11月・12月をトラックGメンによる「集中監視月間」に位置づけ、適正な取引を阻害する疑いのある悪質な荷主や元請事業者に対する監視を抜本強化し、164件の「要請」と47件の「働きかけ」を実施した。
加えて、過去に「要請」を受けたにもかかわらず、依然として違反原因行為をしている疑いのある荷主等に対し、初めて2件の「勧告」を実施した。
トラック荷主特別対策室、通称・トラックGメンは2023年7月に国交省が発足した組織で、働き方改革関連法による、いわゆる「物流の2024年問題」への対応のためには物流事業者だけでなく、荷主・元請側の商慣行を見直す必要があるという観点から、貨物自動車運送事業法(トラック法)に基づく指導を行なうというもの。
荷主都合による長時間の荷待ちや、運賃・料金を不当に据え置くこと、過積載の指示などは「違反原因行為」とされ、取り締まりの対象となる。
荷主側に違反原因行為の疑いがある場合「働きかけ」を行ない、同じく違反原因行為を疑う相当の理由がある場合には「要請」を行なう。また要請を行なってもなお改善されない場合は「勧告・公表」を行なうという規定があり、集中監視月間を踏まえて2024年1月26日付で2社に対する勧告に踏み切った。
今回、「勧告」の対象となった2社は違反原因行為に係る情報が相当数寄せられ、「要請」後もなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認められたため、違反原因行為をしないよう勧告し、その旨を「公表」した。
このほかに集中監視月間では、トラック事業者への全数調査やトラックGメンによる関係省庁と連携したヒアリング等により入手した情報に基づき、悪質な荷主や元請事業者等に対し、164件の「要請」(荷主82件、元請事業者77件、その他5件)、及び47件の「働きかけ」(荷主26件、元請事業者19件、その他2件)を実施し違反原因行為の早急な是正を促した。
なお、要請等の実施件数は1か月当たり106.5件となり、Gメン発足前の1.8件から約60倍に急増している。
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