2019年の東京モーターショーに日野自動車が出展した「フラットフォーマー」を覚えているだろうか? 提案性の高い「平らな」電動トラックは、日野とイスラエルのテクノロジー企業、リー・オートモーティブの共同開発車だった。
そのリー・オートモーティブのP7-Cが、史上初の完全「バイワイヤ」BEVトラックとして米国でFMVSSおよびEPAの承認を受けて、顧客への納車を開始した。コンセプトモデルから市販車へ、リー・オートの電動プラットフォームを解説します。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/REE Automotive・フルロード編集部
クラス4トラック・P7-Cを納車開始
イスラエルを本拠とし、米国のナスダック市場に上場する自動車テクノロジー企業のリー・オートモーティブ(以下、リー・オート)は、2024年1月11日、同社の「P7-C」シャシーキャブ(トラックの荷台などを架装する前のシャシーとキャブだけの状態)が、米国の連邦自動車安全基準(FMVSS)と環境保護庁(EPA)の認定を受けて、顧客への納車を始めたと発表した。
いわゆるフル・バイワイヤの車両が公的に承認されるのは、自動車業界で初めてとみられる。
自動車の制御技術において「バイワイヤ」は機械式制御に変わり電気・電子制御することを指している。リー・オートの車両は、ステアリング、ブレーキ、ドライブなど、全ての制御をバイワイヤ化したことが特徴だ。
FMVSSとEPAの求める要件を満たしたP7-Cは車両のクラスでいうと、「中型トラック」に相当するキャブオーバータイプの車両だ(内燃エンジンが無いので「COE=キャブ・オーバー・エンジン」という用語も奇妙だが……)。
リー・オートはデモンストレーション用に数台のP7-Cを既に顧客に向けて配送しており、北米市場の異なる運送会社に評価してもらう予定だ。併せて米国でのディーラーネットワークの整備も進めている。
P7-Cは米国では連邦歳入庁(IRS)のクリーン商用車税控除の対象となり、一台当たり最大4万ドルの控除を受けることができる。また各州の助成金なども受けられるように調整中で、地域にもよるが公的インセンティブは合計で10万ドル(約1470万円)を超える可能性があるという。
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