日野自動車のトラックで唯一、新車販売が続けられていた小型トラックも、認証試験の不正発覚により8月22日から出荷停止となった。
同日に行なわれた同社の緊急記者会見で公表されたもので、ポスト・ポスト新長期排ガス規制適合の現行型日野「デュトロ」とトヨタ自動車向けOEM車「ダイナ」のうち、4.0リッターディーゼル車の新車販売を停止する。また同エンジンを搭載する第4次規制適合の産業機械などにも影響が及ぶ可能性があるという。
日野自動車は、国内販売トラックの99%が出荷停止という異例の事態となった。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部、日野自動車
【画像ギャラリー】2022年8月2日に行われた前回の日野自動車の会見で公表された資料
国交省の指摘から判明
今年3月4日に明らかにされた認証試験の不正問題と、外部の特別調査委員会による調査報告書を受けて、日野自動車では8月3日から国交省の立ち入り検査を受けてきたが、現行型「デュトロ」「ダイナ」の日野製4.0リッターディーゼルエンジン「N04C(HC-SCR)」の認証のための試験方法に不備が判明したことから、同月22日からの出荷を停止した。
ただし再確認試験の結果、「N04C(HC-SCR)」エンジンの排ガス値そのものは基準値を合格しているため、リコールなどは実施されない。
認証試験の不備は、国交省の立ち入り検査で「劣化耐久試験の測定回数」に関する確認要請を受け、同社が社内調査を行なったところ発覚した。
日野自動車の小木曽聡社長は、会見で「8月2日に特別調査委員会と当社での調査結果を報告した後で、国交省の指摘から不正行為が判明したことは弁解の余地がない。過去のデータの詳細確認が不十分だった」と陳謝した。
なぜ起きた?
今回の不正は、一連の不祥事で問題となった「劣化耐久耐久試験」でまたしても発覚したが、故意に試験値を操作したものではなく、国が定めた認証試験の詳細な内容に対して理解不足だったことによるミスと、そういったミスをチェックする社内のしくみの不備が原因という。
小木曽社長は「昨年から行なってきた『確認劣化耐久試験』(社内での不正判明後にエンジンの正確な性能を確認するための再試験)は、試験についての規定類を整備して新しいチームで実施してきたが、N04C(HC-SCR)エンジンは基準値を超過していなかったため、(当初の)劣化耐久試験で不正があったとは認識できなかった」と今回の経緯を説明した。
結果的に性能自体は法規に適合しているが、試験の手順に問題があったため、出荷を停止した、ということになる。出荷再開は、国交省の判断しだいである。
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