大煌(たいこう)工業、極東開発工業、大林道路の3社が共同開発した「スケールダンプ」は、ダンプトラックのボディにロードセル(荷重センサー)と表示計を搭載し、積載量を高精度かつリアルタイムに表示可能としたダンプ用の計量装置だ。
道路補修工事の中で行なわれる「アスファルト切削工事」における過積載防止、工期短縮、環境負荷低減などを目的に開発されたもので、既存車両への後付も可能となっている。
トラックの荷台にロードセルを搭載するシステムはすでに存在するが、スケールダンプはそれらと何が違うのか? また、積載重量を表示することが、過積載防止や工期短縮にどのような効果をもたらすのか? プロトタイプによるトライアル運行の取材から、スケールダンプの実力に迫る!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2019年9月10日発売「フルロード」第34号より
【画像ギャラリー】走る精密計量カップ!? 積載量を高精度に計測できるスケールダンプ登場!!
■過積載防止、環境負荷低減、規制短縮化を目指し、ユーザー、メーカー、施工業者がノウハウを結集!
道路のアスファルト舗装は老朽化で波打ったりデコボコが生じたりするので、定期的な補修工事が必要。この際、新しいアスファルトを敷くための下準備として、表面の傷んだアスファルトを削り取るのが切削工事だ。
切削工事は、ロードカッターと呼ばれる切削機とダンプトラックを低速で並走させて行なう。切削機はアスファルトを削ると同時に先端のベルトコンベアからダンプの荷台に積み込み、削られたアスファルトは産業廃棄物として処理場に運ばれる。
通常のダンプは積載重量をその場で確認することができないため、現場では過積載防止のため道路に「ここまでで何トン」という範囲を示すマーキングを実施。マーキングしたぶんを積み終えたら、待っている次のダンプに入れ替える……、という流れで作業を行なっている。
このマーキングは「切削する距離」と「アスファルトの種類(比重)」から割り出す非常に高精度なもの。とはいえ、多少の誤差が生じることもあるため、現場では最大積載量10tのダンプに対して8.5tのマーキングを行なうなどの対策を行なっている。
ただ、この余裕を持たせたマーキングは過積載防止に効果的ないっぽう、ダンプの台数と入れ替える回数が増加し、工事の長期化をもたらす。切削工事は夜間に通行規制をかけて行なうが、工期が長引けば近隣や道路利用者への負担増にもつながるため対策が求められていた。
そこで「過積載防止」「環境負荷低減(ダンプ台数削減)」「規制短縮化(近隣や道路利用者の負担軽減)」の3つを一気に解決するべく、ダンプユーザーの大煌工業、架装メーカーの極東開発工業、施工業者の大林道路の3社が共同開発したのがスケールダンプだ。