■食べ物である小麦粉の安全&スピーディな輸送をサポート! 作業性と衛生面を考慮したタンクボディの秘密とは?
真ん丸な断面形状が特徴的なタンクボディは、上部に積込口、後端下部に排出口を搭載。小麦粉バルク車は圧縮空気とダンプ機構を併用して荷降ろしを行なうが、荷降ろし時に用いる圧縮空気は、車両に搭載、もしくは出荷先の工場に設置されているコンプレッサーから取り出す。
出荷元での積み込みは、工場のサイロと積込口を直接ドッキングしてドサッと降ろす方式。工場にコンプレッサーなどの設備がある場合は、タンク後端上部の圧送積込口にホースをつないで圧送することも可能だ。
いっぽう、出荷先での荷降ろしは、工場のサイロと排出口をホースでつないで行なう。排出口付近のエアコーン(多孔板)から吹き出した圧縮空気と小麦粉を流動化(圧送しやすいよう空気と小麦粉を混ぜた状態)させ、ゆっくりダンプアップさせながら行なう。ホースはボディ側面のケースに常備されている。
ちなみに、小麦粉バルク車のタンクは高い密閉性を誇り、各部のパッキンやシーリングには、食品衛生面に配慮した特殊な素材を採用。シャシー搭載のコンプレッサーにも異物混入を防止するためのフィルターを採用するなど、衛生管理には抜かりがない。
■台数は少ないがコンスタントな生産を維持! 長い歴史を誇る小麦粉バルク車のシャシーとは?
小麦粉バルクは、GVW(車両総重量)22t級の大型シャシーをベースとするタンク容量21立方メートルタイプが主流。このほかにも、GVW25t級シャシーがベースのタンク容量29.7立方メートルタイプや、中型シャシーをベースとするものも少数が存在する。
ただし、工場に入っていけないなどの理由からトレーラタイプの需要はないという。なお上述のグラニュー糖バルク車やケミカルバルクトレーラなど、小麦粉バルク車以外のダンプ併用式バルク車にはトレーラタイプも存在する。
小麦粉バルク車の製造を行なう架装メーカーは少なく、現在はタンクローリで有名な昭和飛行機工業が需要の大半を担っている。生産台数は年間40〜50台と、同社の主力製品であるタンクローリに比べればそう多くはないが、コンスタントに需要があるという。
余談だが、同社が西ドイツのスピッツァ社と技術提携してバルク車(粉セメント運搬用)を開発したのは1968年のこと。小麦粉輸送も当初は通常のバルク車で行なわれていたが、同社が国内初のダンプ型小麦粉バルク車を開発した1978年以降は小麦粉バルク車が主流となったという。