EV化で復活するウォークスルーバン
トヨタのロングセラー「クイックデリバリー」が生産を終了した2011年(ヤマト向けは2016年に終了)以降は、国産車にウォークスルーバンは存在していなかったが、2020年前後からEVトラックの開発が加速。EVウォークスルーとして復活する動きが出てきた。
小型車でもキャブオーバー型のトラックが一般的な日本で、フルウォークスルーを実現させるためには、ボンネット型やセミボンネット型にハイルーフを組み合わせた専用のボディが必要になるが、EVはエンジンが不要なので、エンジントンネル部の段差を設計次第で解消することができる。
いすゞ自動車は2019年の東京モーターショーでエルフのハイルーフキャブを使った、いわゆるコンバージョンEVとしてウォークスルーを成立させた「エルフEVウォークスルーバン」を発表。同車は2020年からヤマト運輸でモニター稼働を行なった(来春発売予定)。
いっぽう、日野自動車は超低床フレームなどすべてを新開発したフロント駆動の電気小型トラック「デュトロZ EV」を2020年に発表。ヤマト運輸での実用供試を経て、今年6月にウォークスルーバンとアルミバンを発売開始した。
Z EVはフロント駆動化と専用フレームにより、床面地上高が約40cm(積載時)という超低床を実現したウォークスルーバンとなっている。
ここで紹介したいすゞのマイパックやビギンなどは、時代を先取りしすぎたクルマとして総括されているが、今やEコマース需要の伸長やドライバーの労働環境の改善などにより、宅配などラストワンマイルの集配車のウォークスルー化・低床化には大きな期待が集まっている。
BEVとのマッチングがいいウォークスルーバンは、働く人にも環境にも優しい車両として、今後は宅配車の「本命」になろう。
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