気になるトラックモデルのゆくえは?
少なくともトラック製品については今後、共有していく方向になるわけだが、具体的にどのモデルがいつ、どうなる……というのは、現時点では一切が非公表だ。ただ、いまの両社の状況から憶測してみたい。
まず、大型トラックは両社が得意としてきた分野で、現行の日野「プロフィア」も三菱ふそう「スーパーグレート」も、ともに全面改良から10年未満で新しいのと、パワートレーンやE/Eアーキテクチャー(電気/電子の制御構造)などの技術的バックボーンがまったく異なるため、カーボンニュートラル技術の導入が本格化しそうな次世代モデルから、本格的に統合するとみられる。
中型トラックは、国内2強の一角を占める日野「レンジャー」と、ハイパワー中型増トン車(登録上は大型車)で人気の高い三菱ふそう「ファイター」と、キャラクターが異なる。後者はニッチ市場をガッチリ掴んでいる半面、いわゆる『4トン車』と呼ばれるボリュームゾーンでの失地が続いており、日野との商品統合がシェア回復につながる可能性がある。
小型トラックは、日野「デュトロ」およびトヨタ「ダイナ」、三菱ふそう「キャンター」が統合の対象となる。シェアでいえば日野・トヨタ連合、伝統的な強さでいえば三菱ふそうで、しかも両社ともBEVをいちはやく実用化してきた。大型と同じく技術的背景が大きく違うが、パワートレーンの刷新やバリエーション展開の充実など、両社の得意領域を持ち寄ることで、いままでにない商品力アップが期待できそうだ。
なおバスについては、日野はいすゞ自動車と協業(ジェイ・バス)しているが、こちらに関する事柄も現時点では不明。ただジェイ・バス自体が、バスの開発・生産におけるシナジー創出を企図した協業なので、白紙に戻すシナリオは考えにくい。この枠組みに三菱ふそうも合流した場合、独禁法に抵触するとみられるが、国産バス産業の維持を図ることは、自動車産業大国として喫緊の課題だと思う。
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