三菱ふそう「ファイター」といえば、日本国内では唯一6気筒エンジンを主力とするハイパワーな中型トラックとして知られているが、インドネシアではなんと、車両総重量が16トンから26トンと中型から大型までカバーするトラックとなっており、鉱山ダンプ用シャシーというヘビーデューティーモデルまで存在する。その最新モデル「FN62F HD-R」とは、どんなファイターなのか?
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
「ファイターX」の新しい鉱山ダンプ
インドネシアで販売されている三菱ふそうのトラックは現在、車両総重量(GVW)が5トン~8.5トンの「キャンター」と、16トン~26トンの「ファイターX」、セミトレーラ牽引(連結総重量36トン)用の「ファイターX」セミトラクタである。
そのファイターXの新鉱山ダンプ用3軸6×4シャシー「FN62F HD-R」は、今年3月に現地販売代理店PT.クラマ・ユダ・ティガ・ベルリアン・モータース(KTB、三菱商事・三菱ふそう・現地クラマユダ社の合弁企業)が発表し、翌4月から発売を開始したモデルだ。
鉱山ダンプ用シャシーそのものは以前から設定していたが、莫大な鉱物資源を活用して産業高度化を目指すインドネシアでは、今後、鉱業生産が活発になるとみられており、さらなる商品力のアップを企図したのがFN62F HD-Rである。
驚きの勾配58%フル積載踏破!!
ある特約店が伝えるところによれば、FN62F HD-Rは従来の鉱山ダンプ用6×4シャシーに対し、シャシーフレームの左右サイドレールに大面積のインナースティフナ(補強板)を追加していて、フロントアクスルも軸荷重をアップするなど、大幅にシャシーが強化されているようである。
スチールホイールは20インチ径で、ショットピーニング加工により強度をアップしているという。なお、インドネシア国際オートショー2023(GIIAS2023)の展示車は、ラグパターンの中国製11.00R20サイズ・ラジアルタイヤを装着していたが、11.00-20-16PRサイズのバイアスタイヤも選択できる。
エンジンは、電子制御コモンレール高圧燃料噴射装置とEGR(排気ガス再循環)、VGターボチャージャーを採用した7.5リッター直列6気筒SOHC24バルブの6M60-DAT6型(最高出力270PS/2400rpm・最大トルク980Nm/1200~2000rpm)。排ガス後処理には、酸化触媒(DOC)を導入している。日本より排ガス規制が緩いとはいえ、国内向けファイターと同じ6M60エンジンが活躍している。
このエンジンと組み合わせるトランスミッションは、イートン製の9速マニュアルで、クローラー段が設けられており、フル積載時での走破性を高めてある。そしてファイナルギア比は7.400と深く、なんと勾配58%(角度換算で約30度!)をフル積載状態で登ることができるというから驚きだ。ちなみにトップスピードは時速77kmである。
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