いろいろ差し障りがあるのであまり大きな声では言えないが、大手広告代理店とか外資系企業の人間には、どうしてこうも鼻持ちならない男が多いのだろうか? 「鼻持ちならない人間」と断定してしまうと、さらに差し障りが出てくるので、「私とはウマが合わない人間」ということにさせていただくが、さして人間も出来ていないくせに、さも世の中のことが分かっているふうなデカい態度を取り、細身の黒のスーツにツンツンのヘアスタイルといった風体で、カタカナ言葉が大好きな連中のことである。こういった輩は、なぜか揃いも揃って営業トークの合いの手に、いかにも賢しらげに「なるほどなるほど」という相づちを連発するので、誰しも「ああ、これがウワサの『なるほどなるほど男』か」と合点してもらえると思う。
ここ最近、この手の薄っぺらな人種が増殖中で、おじさんはうんざりして溜め息を吐いてばかりなのだが、先日もこんなことがあった。大手クライアントを担当する大手広告代理店の若い男なのだが、このところ、その代理店内の出来事などがメールでよく送られてくるのである。それも、どこそこの部署の誰某さんのお母さんが亡くなったとか、誰某さんの結婚式が何月何日に決まりましたという、言ってみれば全く身内の話である。全く関係ない話だから、これは何かの間違いでメールが送られてくるのだろうと思い、電話でそのことを伝えたら、「ああ、あれはBCCなので、関係なかったら無視しちゃって下さい」の一言。何だ、そのBCCって? おじさんはBCGなら知っているが(お注射痛かった!)、BCCなんて知らないゾ。
しかし、関係のないメールを勝手に送りつけて無視しろというのは、失礼千万な話ではないか。若い男が目上の人間に対して舐めた態度を取る、あるいは世の中を見下した態度を取るというのは、自分の不安や弱さの裏返しであって、昔からありがちなことである。恥ずかしながら、私にもそんな思い出がある。しかし、大手広告代理店や外資系のバカ男が鼻持ちならないのは、もっと嫌らしいもの、すなわち企業の力関係を見透かした上で舐めた態度を取ることにある。うちのバックは、あの大企業だぞ、世界的企業だぞ!という意識がミエミエの嫌らしさだ。そんなレベルで、「世の中に恐いものなんて無い」という態度を取るから、人間の薄っぺらさが余計目立つのである。つまりは「虎の威を借る狐」であって、自分では気づいていないかもしれないが、人間として、それはとても恥ずかしいことなのである。
おじさんは思う。少なくとも男たるもの、そんなもので勝負するのはやめなさい。ビジネスの現場でも人間の中身で勝負する、そんな人間になりなさい。お相撲さんは裸一貫で勝負するでしょう。企業の力関係なんて、いつまで続くか分かりゃしないんだから、人間を磨くことの方がずっと大切。恋も仕事も、真っ裸な自分で勝負する、それが男というものだと、おじさんは信じているのです。どうです、分かってもらえたでしょうか?「ウーム、なるほどなるほど!」 (キャップ)