必要なのは正当な運賃と適正な評価です!! ベテランドライバーが語る現場からの提言

必要なのは正当な運賃と適正な評価です!! ベテランドライバーが語る現場からの提言

 「エッセンシャルワーカー」とか「縁の下の力持ち」とか評されるトラックドライバーの仕事は、暮らしや社会に欠かせない大切な仕事である。

 しかし、それにしては余りにも賃金水準が低く、これではいつまでたってもトラックドライバー不足は解消されないだろう。

 労働環境改善に本当に必要なこととは!? ベテランドライバーの菊地さんの現場からの提言である。

文/ベテランドライバー菊地さん、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部、全日本トラック協会

「この仕事を選んで本当によかった」と言えますか?

トラックドライバーは将来性のない仕事なのか!?
トラックドライバーは将来性のない仕事なのか!?

 若い人たちは「こんなに稼げなくて将来性がない仕事、やってられない」と見向きもしません。経験者は高齢化でどんどんハンドルを置いていきます。現場の人間を徹底的にすり潰すような構造をこのまま放置しておいたら、本当に「モノを運びたくても運べない」未来がやってくるのは時間の問題です。

 それとも、イーロン・マスク氏が言うように、ロボットが私たちに代わって肉体労働をしてくれる時代の到来が見えているのでしょうか。まだまだ無理な感じがします。

 綺麗なスローガンや上辺だけの法律の規制だけでは、この業界の血は巡りません。

 本当に必要なのは、現場で汗を流す私たちが「この仕事を選んで本当によかった」と胸を張れるだけの正当な運賃であり、適正な評価、そして荷主を含めた社会全体からの「リスペクト」です。

 全国の仲間たち、今日もいろいろと理不尽を飲み込みながら、それぞれのルートを走っていることと思います。どうか事故には気をつけて、無事に家族の待つ家へ帰ってきてください。

 さて、愚痴ばかり述べていても仕方がありません。運送業界、荷主業界、国が抱える問題は私たちが一丸となり解決していかなければなりません。既に行なわれている対策であるとは思いますが、改めて問題の解決措置を確認しておきましょう。

 働き方改革による労働時間規制で基本給が上がらず手取りが減少したこと、荷待ち時間の発生や力関係による不当な扱い、適正運賃を請求しづらい構造、将来の担い手不足などを解決するために、国・運送業界・荷主業界が一丸となって行なうべき実現可能な措置について、以下にまとめました。

国が主導すべき措置

【実効性のある適正運賃・料金の法的担保と罰則の強化】
単なるお願いベースではなく、運賃および「荷待ち時間」や「深夜・休日等の付帯業務」に対する料金の支払いを法的に強く義務付け、違反企業や荷主に対する指導・公表、罰則をより厳格化する。

【トラックGメンの監査体制の抜本的強化と匿名通報制度の活用】
荷主による不当な長時間待機や買い叩きの実態をスピーディーに把握するため、現場ドライバーが不利益を被らない形(完全な匿名性など)で通報できる窓口を拡充し、パトロールだけでなく直接的な是正勧告を徹底する。

【ドライバーのベースアップに直結する公的支援や税制優遇】
労働時間の短縮がダイレクトな減収に繋がらないよう、省力化投資(パレット輸送の導入など)や適正な賃上げを行う運送事業者に対する持続的な補助金・税制優遇措置を講じる。

トラック・物流Gメンの活躍に期待したいが、まだまだ実情に追いついていない
トラック・物流Gメンの活躍に期待したいが、まだまだ実情に追いついていない

運送業界が取り組むべき措置

【基本給の体系見直しと「走らなくても稼げる」給与構造への転換】
「走った距離や時間」に依存した歩合給中心の給与体系から脱却し、拘束時間や安全運行、専門性を正しく評価して基本給を底上げする。

【元請け・下請け多重構造の是正と透明化】
中抜きによる不当な低賃金構造を解消するため、元請けから実行部隊(末端の運送会社)への適正な運賃の分配を徹底し、適正取引のガイドラインを社内で厳守する。

【荷主への強気な交渉力の強化(業界団体のスクラム)】
1社だけで荷主に対抗すると仕事を奪われるリスクがあるため、同業他社や業界団体が連携し、「不当な安値や長時間待機を強いる荷主とは取引しない」という毅然とした姿勢を共有する。

次ページは : 荷主業界(発注者側)が取り組むべき措置

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