BHPとリオ・ティント、キャタピラーの3社は2025年12月4日、豪州で初めてとなる「Cat 793 XE Early Learner」が同国ピルバラの鉄鉱山に到着したことを発表した。
積載量240トン級の鉱山用ダンプトラックを電動化したもので、キャタピラーのプログラムを通じて早期に現場に投入し、開発を加速する。各社の共同トライアルにより本格導入に向けた知見を得ることも目的の一つだといい、2050年までに鉱山開発のネットゼロ実現を目指す。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Rio Tinto・Caterpillar
豪州初、BHPとリオ・ティントにキャタピラーの電動ダンプ
豪州で初めてとなる電気駆動の鉱山用超大型ダンプトラックが、同国ピルバラにあるBHPのジンブルバー鉱山に到着した。BHPとリオ・ティントは、キャタピラーの「アーリーラーナー」プログラムを通じて、共同で電動の鉱山用ダンプをトライアルする。
2台のキャタピラー「793 XE アーリーラーナー」(以下793XE)は、BHP、リオ・ティント、キャタピラーの3社連携により導入されたもので、性能や生産性は従来と同等を維持しながら排気ガスをゼロにするように設計され、持続可能な鉱業に向けた大きな一歩になるという。
キャタピラーは793XEのスペックについては詳細を公表していないが、ベースとなる「CAT 793」は定格積載量240トン、車両総重量404トン、V型16気筒ディーゼルエンジンが1976kW(約2650hp)を発揮する鉱山用の巨大なマシンである。
各社は大規模な鉄鉱石の採掘において、ディーゼル燃料を代替する技術としてバッテリーEV(BEV)の実現可能性を検証するほか、トライアルを通じて低排出の鉱山機械や採掘現場を支えるための技術、プロセス、インフラ、人材の開発も目指している。
鉱山開発は豪州の主力産業だが、天然資源を「造る」ことはできないので、採掘・運搬など技術の進歩とブレイクスルーに依存する産業でもある。BHPやリオ・ティントなどの大手鉱山会社がキャタピラーと緊密に連携して研究開発を推進するのはこのためで、商用化可能で実用的な技術はすぐにでも導入し、鉄鉱石運搬用フリートの脱炭素化を進める狙いがある。
共同トライアルに続いて、BHPとリオ・ティントはそれぞれの運用環境での大規模試験を行ない、独自の取り組みも進めるという。
BHPの西オーストラリア鉄鉱石アセット社長のティム・デイ氏は次のように話している。
「弊社で初めてのBEV特大トラックをピルバラに導入しました。これは鉱山業界の脱炭素化に向けた重要な一歩です。ディーゼル車の代替は、ただエネルギー源が変わるだけではありません。鉱山の操業を見直し、採掘のための技術を変革し、インフラとサプライチェーンを構築する必要があります。
バッテリー技術、発電・充電インフラ、エネルギー管理、大規模化に必要なサプライチェーンなど、今回のトライアルは複雑なパズルのピースが、どのように組み合わされるのか理解するためのものです。
こうした大きな変化を実現するには、研究開発への強いコミットメントとともに業界全体の連携が不可欠であり、長い時間を要します。だからこそ共同のトライアルが不可欠なのです。ピルバラの現場から、移行を加速するために必要なブレイクスルーをいかに実現できるか、その学びを得られることに興奮しています」。
キャタピラーのアーリーラーナー・プログラムは2021年に開始され、顧客の現場にBEVトラックを早期投入し、開発と検証を加速することに重点を置いている。今回のトライアルでは、将来の本格導入に向けた知見を得ることも目的となっており、より多くのトラックを試験する方法や、それぞれの事業でBEV特大トラックを導入する可能性などについて検討を進める。
BHPとリオ・ティントは2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという共通の目標を掲げており、3社の提携はそうした野心を反映したものだという。
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