スカニアは中国にグローバル拠点を開設すると発表した。同社にとって過去最大規模の投資であり、ここで製造するトラックは中国だけでなくアジア地域などにも輸出するという。
工場は合弁ではなくスカニアの単独出資となり、中国市場への同社の長期的な取り組みを象徴している。
 また、中国専用の新ブランドとして「NEXT ERA」を合わせて発表した。競争の激しい中国の大量輸送セグメント用の大型トラクタで、ここで先行投入した技術をグローバルに展開することも考えているという。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Scania CV AB
スカニアが中国にグローバル製造拠点
実に134年に及ぶ豊富な歴史においても重要な決断となりそうだ。スウェーデンの大手商用車メーカー、スカニアは2025年10月15日、中国にグローバル産業拠点を開設することを発表した。
中国は世界最大のトラック市場であり、新拠点は同社にとって3番目のグローバル製造拠点となる。これはスカニアの世界展開を強化するだけでなく、中国発のイノベーションを取り込むなど、中国市場をスカニアの中心的な市場と位置付ける意味もあるという。
江蘇省如皋(じょこう/ルーガオ)市に建設する新産業拠点は、スカニアにとって過去最大規模の投資となる。敷地面積は80万平方メートルにおよび、車両の製造能力は年間で5万台。中国市場への供給に加えて、アジア地域やその他の市場に輸出される車両もここで製造する。
現地で3000人を新たに雇用し、総投資額は20億ユーロ(約3600億円)に上る。最近、国内でも見かける機会が増えてきた日本市場向けスカニア車も、中国での製造に切り替わっていくのか注目を集めそうだ。
さらに、如皋工場は現地で製造されるバイオガスや、認証されたグリーン電力など、ほぼ完全に再生可能エネルギーのみで稼働する。こうした環境対策はスカニアのスコープ1&2の脱炭素目標にも直接貢献するものとなる。
スカニアの産業オペレーション・アジア社長のルトガー・デフリース氏は次のように話している。
「如皋の新工場では、エネルギーの調達から廃棄物の管理に至るまであらゆる側面で持続可能性が考慮されています。ここは、トラックを製造するためだけの場所ではありません。製造業の運営をもっと効率的で持続可能にするための新たな基準を生み出す場所です」。
合弁ではなく自社工場に?
新拠点でもう一つ注目されているのは、製造施設が中国企業との合弁ではないことだ。すなわち100%自社所有の工場でトラックを製造可能な完全な生産ライセンスを(中国政府より)付与されており、これは西側諸国(資本主義諸国)のメーカーとしては初めてとなる。同国の規制緩和とともに、中国市場でのスカニアの長期的な取り組みを象徴する出来事だ。
スカニアは中国の商用車市場に参入して60年となる。今や同国は世界最大のトラック市場であり、電動化や自動運転、コネクティビティなど商用車イノベーションの中心地となった。
如皋および上海の研究開発センターとともに、新産業拠点の設立を通じて中国におけるスカニアの存在感を高め、現地パートナー企業と共同でのソリューション開発能力を強化する。
これは中国のみならずアジア全域の顧客とより緊密に連携するための戦略的投資でもあり、より迅速な車両の供給と、より幅広いオプションの提供、そしてより深い協力関係の実現を目指すという。
スカニア、およびトレイトングループCEOのクリスチャン・レビン氏のコメントは次の通りだ。
「如皋の新拠点は工場を超えた施設です。中国のダイナミックなイノベーション環境の一部となることで、スカニア自身の開発力も強化されます。ここでは生産活動とともとイノベーションを生みだすことで、中国のスピードと創造性を活用し、グローバルな能力を強化し、持続可能な輸送への移行を加速します」。
    

                                
                                
                                
                                
                        
                        
                        
                        
                        
            
                    
                    
                    
                    
            
            
            
            
            
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