2026年スタートの新・AT限定免許で注目!! トラック・バス用オートマの本命、アリソンATとは!?【PR】

2026年スタートの新・AT限定免許で注目!! トラック・バス用オートマの本命、アリソンATとは!?【PR】

 運送業会の人手不足を受け、来年2026年4月からトラックでもAT限定免許が導入される。同免許で運転できるトラックのオートマは大きく分けてATとAMTに分類できるが、両者はいまいち混同されがち。

 そこであらためて、両者の構造の違いや特性、そして日本でも普及しているアリソンATについて特集していこう。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

トラックにもAT限定免許を導入

2026年からトラックでもAT限定免許が導入される。人手不足解消のため、運送業界側もさまざまな対応が求められそうだ
2026年からトラックでもAT限定免許が導入される。人手不足解消のため、運送業界側もさまざまな対応が求められそうだ

 警察庁交通局運転免許課が発表している「運転免許統計‐令和6年版」によれば、同年の運転免許試験では第一種普通免許の受験者が163万9270人。このうちAT限定免許での受験者は114万6072人に上り、約7割がAT免許の取得を希望している。

 AT免許が時代の趨勢を占めるいっぽうで、これまで一般のトラック・バスを運転するため必要になる準中型〜大型免許では同免許が設定されてこなかった(2007年6月2日の中型、2017年3月12日の準中型免許制度が始まる以前のAT限定普通免許の取得者には「AT限定8トン免許」、「AT限定5トン免許」が存在する)。

 しかし、2024年問題などを要因とする運送業界の人手不足が社会問題化するなか、警視庁は同業界における求職者のハードルを下げるべく、2026年4月1日からAT準中型免許、AT中型免許、AT中型第二種免許、2027年4月1日からAT大型免許、同10月1日からAT大型第二種免許を導入する方針を決定した。

トラックのAT限定免許導入とあわせ技能試験なども見直され、大型免許等の教習車や試験車がすべてATに置き換わる予定でMT免許のギア・クラッチの教習・試験等はMT普通車で実施される。すなわち、MT大型免許などを持っていてもトラックのMTはいっさい運転したことがない新規取得者が今後増えることになる……
トラックのAT限定免許導入とあわせ技能試験なども見直され、大型免許等の教習車や試験車がすべてATに置き換わる予定でMT免許のギア・クラッチの教習・試験等はMT普通車で実施される。すなわち、MT大型免許などを持っていてもトラックのMTはいっさい運転したことがない新規取得者が今後増えることになる……

 かつてはMT車が当たり前の運送業界であったが、今はオートマ車の普及拡大も進む。現在のバス業界においては、新車路線バスのアリソン製AT(トルコンAT)比率が中型で100%、大型で4分の3を占める。

 これにAMT(自動変速機付きMT)を含めるとオートマ搭載率は100%であり、今後路線バスのほとんどがオートマ車に置き換わることが見込まれる。

アリソンATを搭載する中型・路線バス(エルガミオ)の運転席。ボタン式のセレクターを採用する
アリソンATを搭載する中型・路線バス(エルガミオ)の運転席。ボタン式のセレクターを採用する

 またトラック業界の場合は、AT・AMTのオートマ普及率で見ると中型車では13%とまだ低いが、大型車では47%、トラクタでは72%と、こちらも徐々に普及が進んでいる(自動車工業会「2024年度普通トラック市場動向調査」より)。

 2026年から始まるAT限定免許枠の拡大により、普及率でバス業界に遅れ気味のトラック業界でもオートマ車の需要が拡大することが予想される。では、AT限定免許で運転できるトラックのATとAMTではどんな違いがあるのだろうか?

ATとAMTのメリット・デメリット

 トラックに設定されているオートマは、大きく分けると自家用車で一般的なトルクコンバーター式ATと、MTの変速制御を自動化したAMTの2種類。

 さらにAMTの一種として、二つのギア系統を持ち瞬時に切り替えることを可能にしたDCT(デュアルクラッチトランスミッション)に分類できる。

 国産メーカーでは、三菱ふそうや、いすゞの小型車にDCTが設定される。またAMTはギア比が十数段あるような多段トランスミッションが必要になる大型車を中心に広がりを見せ、各社の大型〜小型まで幅広く選択できる。

アリソン1000シリーズを搭載する日野レンジャーFCダンプと、アリソン3500を搭載するGKミキサ
アリソン1000シリーズを搭載する日野レンジャーFCダンプと、アリソン3500を搭載するGKミキサ

 いっぽうATは中型・日野レンジャーの特装系シャシーを中心にアリソン製ATを設定。同社のATは、一般トラックでは現在日野レンジャーのみだが、除雪車や消防車、自衛隊車両などの特殊トラックではシャシーメーカー各社に広く採用されている。

 ATはトルコンとプラネタリーギアの組み合わせたものに対し、AMTはMTと同じギアセットに変速制御機構を備えたもの(クラッチは流体継手やクラッチ板など各社さまざま)で、同じオートマであるが乗り心地や性能などは異なる。

 その特徴としてAMTは、構造が比較的シンプルなぶん導入コストが安く、2ペダル化による運転のしやすさと費用のバランスが取れるため広く採用が進むトランスミッションといえる。

 ただし、変速はMTと同じくクラッチを切ってギアを切り替える間があるため、構造的に失速(トルク抜け)を伴い、停止・発進を繰り返すような変速の多いケースや、失速が大きくなる上り坂などはあまり得意ではないなどのデメリットがある。

 対してATに採用されるプラネタリーギアは、サンギア・ピニオンギア(&プラネタリーキャリア)・リングギアで構成され、いずれかのギアを固定したり動かしたりすることで単体でも複数のギア比や逆回転(後退)を実現。

 その制御は油圧クラッチ(&ブレーキ)で行なわれ、複数の油圧クラッチを同時に切り替えることで瞬時に変速が可能で、AMTのようなトルク抜けは発生しない。このため坂道や停止・発進の多いシーンに強いトランスミッションと言えるだろう。

日野レンジャーに設定される6段AT、アリソン1000シリーズのカットモデル。左側がトルクコンバーター、右側がプラネタリーギアで、3セットで6速+後退を実現している
日野レンジャーに設定される6段AT、アリソン1000シリーズのカットモデル。左側がトルクコンバーター、右側がプラネタリーギアで、3セットで6速+後退を実現している
途切れなく加速できるトルコンATは上り坂などに強く、失速がないぶん燃費面でも有利といえる
途切れなく加速できるトルコンATは上り坂などに強く、失速がないぶん燃費面でも有利といえる

 またトルクコンバーターは発進時にトルクを増幅させる効果をもたらすほか、滑らかな走り出しを実現。スリップしやすい雪道や不整地などでも優れた走破性を発揮できる。

 一般的にはトルコンATは燃費が悪いイメージがあるが、最近は積極的なロックアップ制御(トルコンのスリップロスを無くす制御)で燃費も向上。AT・AMTで燃費に大きな差はなくなっている。

 いっぽう、導入コスト面ではAMTよりやや高い。しかし、クラッチ交換等の高額なメンテナンス費用が必要なく、トータルで見ればこちらも両者の差はあまりないと言える。

次ページは : アリソンATのラインナップ

最新号

【特集】進化の極みへ ボルボFH2025年モデル フルロードvol.58 本日(9/10)発売!!

【特集】進化の極みへ ボルボFH2025年モデル フルロードvol.58 本日(9/10)発売!!

自動車雑誌ナンバーワンの「ベストカー」が自信をもってお送りする本格派のトラックマガジン!! 今号では…