イタリアのイヴェコを買収する方針を発表しているインドのタタが、世界市場で商用車攻勢を強めている。
ドミニカ共和国市場への新規参入に続き、スリランカ市場に一挙に10モデルの商用車を投入すると発表した。質実剛健なエンジニアリングを掲げる同社は、市場セグメントを明確にした車両を展開しており、インドは商用車業界再編の台風の目になりそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Tata Motors Limited.
市場セグメントを明確にした車両群を投入
インド最大の自動車メーカーであるタタ・モーターズが、世界の商用車市場でプレゼンスを拡大している。
同社はイタリアの大手商用車メーカーで、もともとはフィアットの商用車部門であったイヴェコを買収する方針を発表しており、新たにグローバルな商用車アライアンスが誕生しそうな情勢だが、2025年8月13日には中南米のドミニカ共和国の商用車市場に新規参入、同23日にはスリランカ市場に新型商用車を一挙に10モデル投入すると発表している。
これはタタの先進的な輸送ソリューションへのコミットメントを強調するものであり、同社のプレゼンスを大幅に拡大することを狙ったものだという。
スリランカではタタの正規販売代理店であるDIMO社と、65年に及ぶパートナーシップがある。新たに投入される商用車もこのパートナーシップに基づくもので、スリランカの企業や輸送関係者の進化するニーズに合わせた、スマートで信頼性が高くパフォーマンスを重視したソリューションとなっているそうだ。
効率的な都市物流とラストマイル配送のための車両として、タタ「ウルトラ」シリーズから「T.7」「T.9」「T.12」「T.14」「1918.T」トラックを投入する。タタの新世代トラックプラットフォームをベースに構築され、燃費、パフォーマンス、操作性、生産性の向上を目指したトラックだ。
長距離及び重量物輸送向けには「プリマ5530.S」及び「シグナ5530.S」けん引車を投入。燃費と安全性の向上を重視しており、運送事業者の生産性のために最適化され、要求の多い物流・インフラなどの用途に最適となっている。
長距離バスとしては「マグナ」シリーズから「LPO 1622」バスを、効率的な移動のために「ウルトラプライム」シリーズから「LPO 8.6」と「LPO 11.6」バスを投入する。人々の移動においても信頼性と費用対効果の高いソリューションを実現する。
商用車で世界戦略を加速
いっぽうドミニカ共和国市場への新規参入では、正規代理店としてイクイマックス社と戦略的パートナーシップを結んだ。
現地の物流やインフラに合わせた商用車を投入するとしており、ラストマイル輸送用に「スーパーエース」、ユーティリティに「ゼノン」ピックアップ、都市物流用に「ウルトラ」シリーズから「T.6」「T.7」「T.9」トラック、建設向けに「LPT 613」ダンプなどのラインナップが発表されている。
同社の国際事業責任者であるアシフ・シャミム氏によると、ドミニカ共和国は経済・インフラが成長しており高い潜在性のある市場だといい、長期的に現地の輸送企業の期待に応えていくことは、グローバルに商用車事業を強化するタタの成長目標と合致するそうだ。
タタは今年、商用車部門と乗用車部門を分離し、より機動的な展開が可能になった。
同社の商用車は世界約40カ国で販売されているが、総重量で1トン未満の小型トラックから60トンの大型トラクタ、9人乗りから71人乗りのバスまで、他の商用車メーカーと比べても幅広いラインナップを揃えていることが特徴だ。
タタは商用車では70年以上の歴史を持ち、質実剛健なエンジニアリングとグローバルな革新を基盤に、性能、耐久性、コスト効率を追求しているという。
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