ヤマトモビリティ&Mfg.(以下ヤマトモビリティ)と戦略的技術提携を結ぶIAT、SBSグループが開発を進めてきたEVコンバージョントラックの初号車がこのほどSBSグループに納車された。
コンバージョンEVとは、既存の内燃機関車等をベースに電動化した車両であるが、今回3社が取り組んでいるのは長期間使用された中古トラックをベースにコストを抑え、EV化するというもの。
最新のEVトラックの機能性は高いが、お値段も高い。現実路線としてカーボンニュートラルを目指すのであれば、今後こうした動きも重要かもしれない。
文/フルロード編集部、写真/ヤマトモビリティ
コストは3分の1!! EVコンバージョントラックの取り組み
ヤマトモビリティ、IAT、SBSホールディングスの3社は、中古の1.5トン積キャンター(ディーゼル)をベースにEVコンバージョンし量産・量販化を目指す取り組みを進めてきたが、このほどEVコンバージョントラックにおける改造認可申請(複数台申請)が正式に認可され、車両ナンバーを取得した。
量産・量販を前提とした小型トラックのコンバージョンEVの認可は日本初となり、ナンバー取得を受けて、2025年4月15日にSBSホールディングスの本社において初号車の引き渡しが行なわれた。
このコンバージョンEVは、同型の新車を新規購入するのと比較して約3分の1の費用でEVトラックを導入することができ、SBSグループが掲げる車両排出CO2削減を目指したEV化の取り組みを加速させることが可能になる。
ヤマトモビリティでは、中国メーカーと技術コンサルタント業務などを行なっているIATとの連携により、中国製EVトラックの競争力あるEV部品で中古トラックをEVに改造し、認証を取得。新車メーカーとは異なる手法でEVコンバージョントラックを生産し、日本のEV市場の活性化に取り組むとしている。
同社のEVコンバージョンキットは、第一段階では、日本の「改造車検」の審査にスムーズに合格することに重点を置き、EV改造範囲が最小限になるよう工夫を凝らした設計をしていることが特徴だ。
EVコンバージョンの実際
EVコンバージョンで交換する部品は、エンジン・ミッション・プロペラシャフトをEVモーター・専用モーターシャフトに置き換え、燃料タンク・排気マフラーを外し、そのスペースに走行用バッテリーを配置するというもの。
ちなみにEV化部品については、コストの安い中国製部品の中からIATが良質なものだけを厳選し、採用。EV部品の制御ユニットのみIATが日本の要求品質に合わせて新規開発致しているという。
EVコンバージョントラック(1.5トン積みキャンターベース)のスペックは、モーターは動作電圧350V、定格出力50kW、最大出力110kW、最大トルク330Nm。バッテリーは、容量41.86kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのバッテリーパックを1基搭載でき、1充電当たり航続距離は約100kmとなる。また充電は、急速充電のCHAdeMOにも対応する。
SBSグループでは、2025年3月時点で72台のEV車両が走行しており、ヤマトモビリティの今回のEVコンバージョントラック含め、2025年上期中に20数台程度のEVを追加導入を予定。
両社は今後、公道での実走行を経て、SBSグループ内各社におけるEVコンバージョン車両の導入を進めていく計画だ。
また、ヤマトモビリティではEV車両の保有比率を拡大するにあたり、SBSグループ各社がすでに保有している長期間使用されたディーゼルトラックのEVコンバージョンを推進し、車両を再利用する取り組みを進めるとしている。
なお、今回の「複数台申請」の認可取得により、同一型式・同一改造内容であれば車両登録が容易となったことから、ヤマトモビリティが保有するEVコンバージョントラックのデモ車(2号車)もナンバーを取得。これによりSBSグループ以外でも要望があれば公道試乗に対応するとのことだ。
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