トラックの安全性能をもっとわかりやすく! 欧州の安全性評価指針・ユーロNCAPが大型トラックまで拡大へ!

トラックの安全性能をもっとわかりやすく! 欧州の安全性評価指針・ユーロNCAPが大型トラックまで拡大へ!

 自動車の衝突試験と安全性評価で有名なユーロNCAPが、評価を大型トラックにまで拡大すると発表した。大型車は、乗用車や小型商用車とは技術的にも使用環境も異なるが、事故をなくすという「ビジョンゼロ」のためにはトラック用の新たな評価スキームを導入する必要があるという。トラックの安全性評価では、都市部と高速道路という二重の評価を行なう予定だ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真・表/Euro NCAP・自動車事故対策機構・Daimler Truck AG

ユーロNCAPがトラック用の安全性評価を導入へ

日本でも採用機運が高まるか!? 安全性評価の指針・ユーロNCAPが大型トラックまで拡大へ!
日本の自動車アセスメント(JNCAP)より。2021年度の最高得点を獲得したスバル・レガシィアウトバックの衝突試験

 衝突試験の結果などから自動車の安全性を評価する「自動車(新車)アセスメント」(NCAP、えぬきゃっぷ)は1970年代のアメリカで始まり、その後、各国に広がった。中でも欧州のユーロNCAPはメーカーや政府から独立した非営利団体が実施しており、その独立性の高さや情報の入手しやすさなどから、消費者にとってわかりやすい安全性の基準として評価が高い。

 ユーロNCAPの試験を受ける車両は日本車を含めて増加傾向にあるが、これまでは主に乗用車に関するものだった。もちろん、トラックメーカーも安全性向上のために衝突試験等は行なっているが、消費者団体などが安全性を星の数で表すようなわかりやすい評価基準が大型トラックにはなかった。

 いっぽう、ユーロNCAPが2023年4月12日に発表したところによると、新たな評価スキームを導入し、安全性に関する詳細情報を提供する範囲を大型トラックにまで拡大するそうだ。

 ユーロNCAPは最新のレポートの中で、大型トラック新型車の安全性評価スキームが導入されることで、乗用車とは大きく異なる大型トラック用の安全装置等を運送業界のあらゆる関係者が容易に評価できるようになるとしている。

(ユーロNCAPのビジョン・ゼロに向けたより安全なトラックに関するロードマップ)

 トラックを運転するドライバーの安全性を向上するだけでなく、安全技術に関する新しい市場を形成することで、メーカーに対してはユーロNCAPの原則に基づいた明確なフレームワークにより製品の革新と改善を促すとした。

 また、自治体や公共機関は安全性という観点から管理する道路に最適な車両を選定することができ、運送会社などの事業者は道路管理者の求める車両仕様を簡単に決定することができる。もちろん大型車の安全性向上が乗用車や歩行者、一般消費者にとって利益になることは言うまでもないだろう。

 欧州はトラックの開発では世界をリードしており、大型トラックの安全性評価が定着し規格化が進むと、日本メーカーを含む商用車メーカーの新車開発にも影響を与える可能性がある。

 ユーロNCAPのメンバーであり、スウェーデンの運輸当局で車両安全性顧問を務めるリカード・フレドリクソン氏は次のように述べている。

 「スウェーデンでは車両の正面衝突を見かけることがあり、特に大型トラックが関係する事故は、安全な道路輸送を実現する上で最大の課題の一つとなっています。ユーロNCAPは乗用車の安全性試験を通じて多くの人命を救った実績があります。大型トラックに対する新たな評価スキームの導入が、我が国の道路行政における主要な課題に対処するための強力なツールになることを期待しています」。

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