北米のゼロ・エミッショントラックの開発で日野自動車と提携するヘキサゴン・プルス(ノルウェー)は、米国日野との提携強化に向けた協議を行なっていることを明らかにした。合意すれば共同開発の大型BEVトラックを2024年にも北米市場に投入する。両社は2022年に提携を発表しているが、直後に日野のエンジン不正問題が発覚。しかしCO2削減に向けた志は変わっていないようだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/HINO MOTORS SALES U.S.A.,INC.・Hexagon Purus ASA
日野、ノルウェー企業と提携し米国に電動トラックを投入へ
ゼロ・エミッションモビリティとインフラ開発を行なっているノルウェーの企業、ヘキサゴン・プルスは2023年3月1日、北米事業において日野自動車との提携強化に向けた協議を行なっていることを明らかにした。
合意に達すればヘキサゴン・プルスは米国日野のトラックシャシーを使用したバッテリー電気式(BEV)大型トラック完成車をアメリカ市場に投入することになる。販売は日野のディーラーネットワーク(の一部)を活用する形になりそうだ。
車両は北米市場向けにボンネットキャブ(日野600シリーズ)を採用する大型トラック(クラス7~クラス8)のXLシリーズ4×2トラクタシャシーに、ヘキサゴン・プルスのゼロ・エミッション技術を組み合わせる。これにはバッテリー、補器類、パワーモジュール、およびソフトウェアが含まれるという。
合意すればという条件付きではあるが、この提携により2030年までに1万台のBEVトラックの販売を見込んでおり、提携の規模は20億ドル(約2700億円)に達する。
両社によるBEV大型トラックの量産化は2024年末までに開始する予定だ。
両社は「プロジェクトZ」からのパートナー
ヘキサゴン・プルスは世界最大の高圧ガス容器メーカーであるヘキサゴン・コンポジット社の子会社として2020年にスピンオフした企業で、ゼロ・エミッションモビリティとクリーンエナジーを手掛けている。
特に商用車向けに燃料電池車両(FCEV)とBEV用のシステムを開発しており、北米市場ではニューフライヤーの燃料電池バスなどにも採用されている。
日野自動車とその親会社であるトヨタは、2020年に米国におけるゼロ・エミッションへのロードマップを示した「プロジェクトZ」を発表し、パートナー企業と共に持続可能なモビリティを実証するためのトラックを試作した。
プロジェクトZにおいて、電動パワートレーンのSEAエレクトリックや電動トラックのXOSトラックなどと共にパートナーとされたのがヘキサンゴン・プルスだ。同社のフル電動ドライブを搭載したBEVトラックが開発されたほか、FCEVの水素タンクなどでも協力したとみられる。
こうした協力関係から米国日野とヘキサゴン・プルスは2022年2月11日に北米市場での提携で合意し、日野自動車の様々なプラットフォーム用にヘキサゴン・プルスがバッテリーパックを提供するという計画を明らかにしていた。
当時の合意の規模は10億ドルとされた。今回の発表はこの合意を置き換えるとともに、提携をさらに強化するものとなる。ちなみに前回の合意の直後(2022年3月4日)に日野のエンジン認証不正問題が発覚したが、その発端となったのが北米市場でのエンジンの自主調査であった。
日野はSDGs達成に向けて、CO2の大幅削減について「同じ志」を持ったパートナーと取り組むとしている。認証不正問題を経ても両社の志は変わらなかったようだ。
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