トヨタ自動車と日野自動車は、2020年3月に燃料電池大型トラックの共同開発を発表。同年10月には、22年春頃より一般道での走行実証を行なうと発表した。
同走行実証には、トヨタ、日野、アサヒグループホールディングス、西濃運輸、NEXT Logistics Japan(NLJ)、ヤマト運輸の7社が参加。各社の物流業務に燃料電池大型トラックを導入し、実際の現場で働きながら、その実用性などを検証する内容となっている。
燃料電池電気自動車(FCEV)は、大型トラック電動化の大本命といわれるだけに、トヨタと日野の共同開発プロジェクトは大きな注目を集めそう。両社がアメリカで行なっているもう一つの燃料電池大型トラック共同開発プロジェクトとともに、その具体的な中身を紹介しよう。
文:多賀まりお、「フルロード」編集部
※2020年6月15日発売「フルロード」第37号より
■トヨタと日野が共同開発している燃料電池大型トラックの実力とは?
トヨタと日野が共同開発する燃料電池大型トラックは、日野プロフィアのなかでも多くが長距離輸送に使われるFR系GVW(車両総重量)25t級の長尺カーゴ車型(単車)がベース。全長12m級の大型トラックで、発表資料ではバン型架装となっている。
パワートレーンは、トヨタ新型MIRAI用「トヨタFCスタック」を2基搭載し、リチウムイオンバッテリーを介して交流同期型電動機を駆動。水素は新開発の大容量高圧タンク(70MPa)に貯蔵される。航続距離は都市間・市街地混合モードで約600kmが目標だ。
日野によると、航続距離確保のポイントとなるのは大型トラック専用に開発された大容量高圧タンクと、その搭載技術。動力性能と電費性能(電力量の消費率)に関しては、FCEVとEVの組み合わせ制御技術にあるという。
日野は2019年発売の日野プロフィアハイブリッドの開発において、架装性確保のためバッテリー搭載量を最小限にしたうえで、最大限の省燃費効果を得るべくAIを活用した勾配先読み制御など長距離輸送を想定した緻密なハイブリッド制御を盛り込んだ。
FCEVには燃料電池とモーター間のバッファやエネルギー回生に用いる二次電池が搭載されるが、こうした既存のノウハウも二次電池の容量検討にあたっての需要な開発要素となりそうだ。