初秋のドイツ トラック紀行ふたたび その7
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コラム
ヴェルト工場の中でもう1つ注目されるのがCKDオペレーションセンターの存在です。CKDとはコンプリート・ノック・ダウン、すなわちトラックの部品すべてを相手国に送り、現地で組み立てて完成車にする製造方法のことです。CKDに対するのがCBU(コンプリート・ビルド・アップ)で、いわゆる完成車輸出のこと。では、なぜ国によっては完成車輸出ではなく、CKD方式が取られるのか? 自動車産業が盛んでない国や発展途上国では、自国に自動車の組立工場をつくってもらい雇用の創出や経済の活性化につなげていくため、完成車に高い関税をかけている国が多くあります。いっぽうノックダウン車両には関税の優遇措置が設けられているため、自動車メーカーとしてもCKDに力を入れているわけです。
ヴェルト工場ではCKDに関しても50年前から手掛けており、これまで約80万台を出荷。今は9カ国に向けて1日約50台を出荷しており、現在の一番の相手先はロシアだとか。
CKDの荷姿は、いわばIKEAの組立家具のようなもので、1つのコンテナにトラックのすべての構成部品が納められています。CKDの車両は、アテーゴとアクサーを除くすべての車両といいますから、荷姿も千差万別。そのため、コンテナにうまくきちんと納めるために専門の部署が設けられおり、どうしたら最も効率的な荷姿になるか日夜研究しています。もちろん輸送の途中で破損等が起きないように細心の注意が払われており、輸送中の振動を想定したシェーカーテストや落下テストも行なっていますし、梱包材や固縛方式もさまざまなタイプが用意されています。CKDって、ちゃんとしてる・かないまへんな・ダイムラーの略かもしれませんね。
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