元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.84

元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.84

追想記(事故)
 
お久しぶりです。個人的な事情が様々あり、フルロードのブログから少し遠のいていました。また、個人ブログも今現在閉鎖しています。再開する時は、全く違ったブログにするつもりです。このフルロードからの読者の方、突然の閉鎖に驚かれたかもしれませんがよろしくお願いします。
 
さて、「並走車」で書いた、私自身の事故の経験を書かせていただきます。
大型トラックのリミッター装着が義務付けられたのは、スピードを出し過ぎる暴走トラックの撲滅にあったのは言うまでもないことです。それで一気に大型車の事故が減ったかと言えばそうではありませんが、長い目で見るとやはり徐々に減っています。
営業用トラックの事故の少なさを私は誇りに思っていますが、リミッターの義務化がその一因であることはその通りでしょう。
しかし、それと同時に起きた弊害を、長々と「並走車」の中で書いてきました。
その弊害とは、たった1kmや2kmの差に我慢できずに追い越しをかけるトラックのことです。それも、右側車線に飛び出すように出てくる大型トラック……。
 
もう何年前になるのか、はっきりとした時期は覚えていないのですが、それが原因で私は事故に遭いました。場所は名神高速道の栗東インターを過ぎた上り車線です。事故をした場所から数100mで菩提寺パーキングにでしたので、事故の検証は菩提寺パーキングに入って受けました。
その時、私は左側車線を走っていたのですが、栗東インターから乗ってきた1台の大型トラックに次第に近づくのを感じて、早めに右側の車線に入っていました。そのトラックは、既に高速を走っていた別のトラックに追い着き、前後を並んで走っているように見えました。つまり私は、自分の4t車に気が付き、そのトラックは私が過ぎるのを待ってくれていると、勘違いしていたのです。が、そのトラックは私が付かづいた瞬間、いきなりウインカーをあげると同時に右側車線に入ってきました。
 
そこで私は慌ててクラクションを鳴らし、ブレーキを踏んだのです。しかし、そのトラックは元の位置には戻らず、そのままの状態でした。そして、最初に追い越しをかけられたトラック、その対象の大型トラック、私の4t車は3台並走状態でスピードが落ちてきたのですが、私はと言えば、一番右側を走っているために、対向車線に押し出されやしないかとヒヤヒヤものでした。
最終的に、そのトラックが追い越しをかけ終わり、左側車線に移る時に私のキャビンに僅かばかり、最後部が接触したのです。当然、傷などはないのですが、私の方は一番弱い部分ですので大破です。結局、保険屋同士の話し合いでは、お互いが動いている状態の事故では100%の一方的な責任はないそうで、相手が7、私が3の比率での解決になりました。
 
ここで問題なのは、私の直前で右側に飛び出してきた大型トラックで、一番の責任があるのは言うまでもありません。しかし、私にも大きなミスがありました。それは、クラクションを鳴らしたことです。そこで、一番前を走っていた追い越されただけの大型トラックまでもが、ブレーキを踏んで、スムーズに追い越されるようにしたことです。それが、結果的にその事故を起こした大型トラックの行き場を無くし、私の急ブレーキの意味合いもなくしたのです。そうです、3台のトラックが同時にブレーキを踏んだために、並走状態になってしまった。
もちろんその状態なので、追い越しをかけたトラックがブレーキから足を離し、追い越しを続ければ良かったのですが、突然のことなのでそこまで思いが回らなかったのでしょう。私にすれば、もう、ひたすらブレーキを踏むしかないわけで……。
 
その日は、偶然にも会社のもう1台の4t車が空車で関西に居たので、積み替えて東京まで走ってもらいました。手積みの荷物だったのも幸いでした。その後、レッカーの会社のドライバー室で休んだのですが、夜が明けて栗東のUDに行き、打ち合わせの後、夕方、高速バスで九州まで帰りましたが、何とも言えない侘しさだけが残りました。

三台DSC05407.JPG

 

最新号

【特集】三菱ふそう新型スーパーグレート フルロードvol.54 本日(9/10)発売!!

【特集】三菱ふそう新型スーパーグレート フルロードvol.54 本日(9/10)発売!!

 自動車雑誌ナンバーワンの「ベストカー」が自信をもってお送りする本格派のトラックマガジン!!  今号…