元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.64

元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.64
トラックドライバーの誇り その62
 
現在、最も物量の多い関東~関西間の運賃がどれくらいなのかご存知でしょうか。4t車だと往復で9~10万円程度です。これはもちろん、水屋などを経由した運賃の最低の方です。
4t車でこの運賃だと、週三回走り、月12往復以上しなければ会社の経営は成り立ちません。そして、それが現在の実情だということは、ドライバーの皆さんはご存じのとおりです。毎日、満足に家に帰る間もなく走る。休めるのは日曜日の半日だけという現状は、今のままでは変わりません。
そして、多くのドライバーがこの職業に見切りをつけ辞めていく。当然ながら、残るドライバーもたくさんいます。
「どこに行っても一緒」そんな諦めの言葉をたくさん聞きました。ですが、今のこの状況が続く限り、新しくドライバーになった者は、すぐに見切りをつけ、長く続けているドライバーも、必ずは体力の限界を感じ、または事故を起こし、家に帰らない夫が家庭を顧みる余裕などなく、私のように生活習慣病からの脳梗塞を発症などという例も出てきます。
いずれにしても、ドライバー不足は現在よりも進み、業界そのものが行き詰まることは必然です。
前回、家内の洋裁の例をあげましたが、職人になるための苦労と、その後の報われない報酬。
トラックドライバーは、特別の資格や修行がいるものではありませんが、「労多くして報われず」の、代表例だということは、業界に携わっている方なら誰もがご存じのとおりです。
物流は、絶対に経済にとって、また、国民生活にとって不可欠なものです。だから、潰れない? そうでしょうか?
確かにトラック物流、つまり、商品がそのものが無くなることはありません。だが、自由主義経済の中で、運送会社は利益を上げなければ経営は無理です。また、労働集約産業の典型的な代表例です。工場に設置された機械は一人の人間が複数運転できることがあるかもしれませんが、トラックはそうはいきません。一人一台しか動かせません。遠い将来は無人トラックの出現があるかもしれませんが、現在では考えられません。 
トラックドライバーは、他の職業に比べて最も割の合わない職業なのです。経営者の皆さん! 自分の会社だけはドライバー不足に陥ることはないと言い切れますか? 4t車のドライバーに20万円代半ばの手取り給料で、週に3回も関東~関西を往復させて、何も思いませんか? あなたの代ではやっていけても、次には結びつかないでしょうね。
その理由は、あなたの会社のドライバーの年齢構成を考えていただければすぐに分かることです。行き場のない中高年の比率が高いのでありませんか? どの業界でも、若者の育たない産業は断末魔の様相を呈しているのです。
話を変えます。
私は敢えて書きませんでしたが、現在、水屋排除の動きは別方面から進んでいます。荷主サイドからです。そうなると、トラック業界に自ら立ち直る機会がなくなります。
私は、荷主の反対はないと書きましたが、実際には反対の動きに向かっているのです。その辺りを次回分析したいと思います。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/ 
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