トラックドライバーの誇り その45
今まで説明したきたとおり、以前あった最低運賃制度を復活するのはとても無理です。仮にそれが実現したとしても、ピンハネが増えるだけで、実際に走る末端の運送会社まで、その恩恵は届くはずはありません。中間に入っている水屋を儲けさせるだけにしかなりません。
現実に、バブル以前から営業だけを目的にし、トラックを走らせる運送会社を下請けにしていた会社が実際に存在していたのです。はい、実は、私はそこの第一号の運転手だったのです。三重県の名張市で営業免許を取得するために、最低2台のトラックを保有する必要があり、その2台のうちの1台に私が乗りました。
つまり、以前の最低運賃制度は、実際に走る経費よりもその金額が上回っていたということが言えます。それでは、荷主の負担が増え経営を圧迫するのは必然です。規制緩和が起こるべきして起きたとも言えます。
また、大手の製造業では、倉庫の製品管理から発送、そして運送、配達と、一括して業者が請け負っています。その場合は、運賃の取り決めは荷主ではなく、その一括業務を引き受けている会社になります。多くは運送事業者ですが、市内の配達や近場は自社で行なっていても、中長距離は、雇車を使っている例が多くあります。また、以前からこの事業を行なっているトラックを持たない倉庫業者も、当然ながら最低運賃を支払わなくてはなりません。
この場合、荷主は一括してロジスティックシステムに支払っているので、運賃の具体的数字を知らないのは当然です。
もっとも、このようなシステムに関しては、一介のドライバーだった私よりも、フルロードのスタッフの方が、より詳しいと思いますが……(笑)
私が思いついた最低運賃制度は、いわば下限運賃であって、これ以上下げてはなりませんよ、それで、運送、配達を発注してはなりませんよという、業界同士の取り決めみたいなものです。もちろん、荷主が直接実際に走る運送会社に発注する場合も同じです。
現在走っている小さな運送会社では心配でならない、どうしても大手の運送会社に頼みたいというのであれば、それ以上の運賃を払わなくてはなりません。タダではトラックの手配はしてくれないので当然です。
言い換えれば、荷主にしても、上記のような委託業者であっても、トラックを持たない営業だけの会社(貨物利用運送事業者)に頼むなら、「その余分な支払いはご自身でどうぞ」ということになります。
そうなのです、いま現在、立場の弱い運送会社にお仕着せられている安い運賃の差額は、荷主サイドに支払ってもらうのが当然だからです。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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