日本ミシュランタイヤの「ウインター・エクスペリエンス」から

日本ミシュランタイヤの「ウインター・エクスペリエンス」から

その3 スリップの要因「水膜」をいかに取り除くか

こないだ首都圏に雪が降った際も凍った道路で転倒する人が続出しましたが、そもそも凍った路面では、なぜ滑りやすくなるんでしょう? それは氷そのものより、氷の表面を覆う薄い水の膜がスリップの大きな要因なんですね。クルマの場合、タイヤの圧力が氷の表面を溶かし、薄い水の膜に覆われることによって、より滑りやすくなってしまう。そこで、いかに水の膜を取り除くことができるかが、アイスグリップ性能を発揮するために重要になってきます。

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タイヤにはグルーブと呼ばれる主溝がありますが、もっと細かくタイヤトレッド面に刻まれた細かい切れ込みをサイプといいます。水幕を切る際に、特に威力を発揮するのがこのサイプなんですね。ミシュランの「X ICE GRIP ENERGY XZW」では、ダブルウェーブサイプと称するサイプを採用しています。これは波状のウェーブサイプにジグザグに切られたサイプを三次元的に刻んだハイテクなサイプで、非常にスポイト効果が高い。スポイト効果とは、アイス路面を含む路面の水分を吸い出し、可能な限りドライコンディションに近づけるサイプの作用のことです。

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ダブルウェーブサイプ(イメージ)

また、そもそもタイヤが回転する際、トレッド上のブロックにかかる圧力は、路面に接地し始める時が一番高くなり、路面から離れる時は圧力が無くなります。「X ICE GRIP ENERGY XZW」では、ダブルウェーブサイプを高密度に配置することで、隣り合うブロック同士がガッチリ噛み合い、支え合いながらブロック全体の変形を抑制し、高い剛性を保つことで、変形による接地面積の減少を抑え、接地圧を均等化しています。

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「X ICE GRIP ENERGY XZW」のトレッド面

ダブルウェーブサイプによるスポイト効果と接地圧の均等化により、「X ICE GRIP ENERGY XZW」の高いアイストラクション/アイスブレーキ性能が実現したわけですが、もちろんその他にも、主溝のデザインやショルダーブロックに配置されたサイプ、さらに低温時にも優れたグリップ力を発揮するシリカを配合したコンパウンドなど、氷雪グリップ性能を高めるさまざまな技術が盛り込まれています。  (つづく)

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