日本ミシュランタイヤの「ウインター・エクスペリエンス」から

日本ミシュランタイヤの「ウインター・エクスペリエンス」から

その2 アイストラクションを試す

ここ正式名称「士別寒冷地技術研究会自動車試験場」は、ミシュランのスタッドレスの開発拠点となります。「MICHELIN X ICE GRIP ENERGY XZW」のアイストラクションテストはこの士別寒冷地試験場の氷盤路を使って行なわれました。テストの前には、コースのコンディションを整えるために、フロントに大きなブラシを装備した車両が氷盤路をブラッシングしていきます。ロードスイーパーならぬロードコンディショナーとでもいうんでしょうか、かなり念入りにコースのコンディションを整えていきます。本題とは関係ないけれど、こういう珍しい車を見るの、やっぱり好きです(笑)。

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ちなみに白く見える路面は、表面は雪を被っているものの、その下はツルツルの氷盤で、まるでスケートリンクのよう。ミシュランのテストとドライバーによれば、氷盤にうっすら雪が積もっているような状態の方が一番滑りやすいんだとか。供試車両は、GVW25トンで最大積載量14.4トンの6×2Rの日野プロフィアFRのバンですが、8トンのダミーロードを積んでいます。近く「トールエクスプレスジャパン」となるフットワークエクスプレスの車両で、この鮮やかな塗色はトールグリーンと呼ばれるそう。
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この氷盤路での発進スタートは、ワンデフ車にはさすがにキツいですね。青いパイロンがスタート地点ですが、駆動輪に対して引き摺りタイヤが「いつもより多く回っています」状態で空転し、思わずテストドライバーの口から「踏ん張れ!踏ん張れ!」の声が漏れます。数秒を経て、プロフィアに装備される駆動力補助デバイス「ファイングリップ」のサポートもあって、ようやく動き出しました。

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一旦動いてしまえば、もうこっちのもの。「X ICE GRIP ENERGY XZW」を履いた供試車両は、氷盤路のカーブでも挙動を乱すことなく走行します。もちろん、それなりの低速走行ですが、ツルツル路面の氷上を走っているような危うい感じはあまりしなかったですね。
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ちなみに供試車両には「V-box」と呼ばれる英国製のテスト計測用のGPSセンサーが装備されているんですが、このとんでもなく精確なGPSセンサーによって、車両の挙動がセンチ単位で測れるんだそうです。

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それによると、「X ICE GRIP ENERGY XZW」が氷盤路で速度0km/hから10km/hに達するまでの平均到達時間は12秒フラットとのこと。従来品の「XDW ICE GRIP」が11.3秒なので、ほぼ同等のアイストラクションを発揮していることが分かります。また、さすがに今回の体験メニューにはありませんでしたが、ミシュランが事前に行なったアイスブレーキングテストでは、速度35km/hでフルブレーキングすると、その制動距離は「XDW ICE GRIP」の57.84mに対して、「 X ICE GRIP ENERGY XZW」は55.34mと、若干優秀なスコアとなったそうです。

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従来品と比べても遜色ない高い氷雪グリップ性能とロングライフ性能を維持しながら、転がり抵抗を15%低減させた「X ICE GRIP ENERGY XZW」……。次回はその秘密に迫るつもり。 (つづく)

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