DUONICを搭載した三菱ふそう新型ローザを試す
過日、三菱ふそうトラック・バスの小型バス「ローザ」の新型モデルに試乗する機会がありました。いわゆるマイクロバスであるローザは全幅2m×全長7mのロングのほか7.73mのスーパーロングを擁するのが特徴。
2台の新型ローザの試乗車。ライトブルー/ダークブルーのツートンカラーの試乗車は、プレミアム仕様のロングで、8列シートの29人乗り(補助席&運転席を含む)。一方のライジングホワイトの試乗車は、スタンダード仕様のスーパーロングで、9列シートの33人乗り(同)である
プレミアム仕様の新型ローザの室内。2012年乗員保護規制に対応し、シート取り付け強度の強化や頭部への衝撃緩和対応などのほか、一般席ELR3点式シートベルト&補助席ELR2点式シートベルトの採用など、安全性の向上が図られている
今回の変更は言うまでもなく平成22年ポスト新長期排ガス規制への対応が中心ですが、内外装にも改良を施したほか2012年7月施行の乗員保護規制への対応による安全性の向上なども図られています。
新型ローザの運転席床下に搭載される4P10型エンジン
燃料供給口の右側にはアドブルーの供給口が設けられた
ともあれ最大のポイントは新型キャンターと同じ3リットルの4P10型エンジン+デュアルクラッチ式オートマチックトランスミッションの「DUONIC」(デュオニック)で、このクラスの駆動系は小型トラックとの共用化が基本なので既定路線とはいえ、DUOICのスムーズさはバス用として予想以上の好印象でした。
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デュアルクラッチ式オートマチックトランスミッション「DUONIC」を搭載した新型ローザの運転席
もちろん2ペダルだ
湿式多板クラッチを滑らせることでクリープトルクを発生させる同AMTの発進はスムーズで、小排気量エンジンのゼロブーストトルク不足も上手くカバーしてくれます。クラッチが係合された後はエンジンと駆動輪がダイレクトに繋がっているため当然ながらアクセルペダル操作に対する応答性も良好。この操作の期待値に対するズレがバスで自動変速機が好まれない理由の一つとされますが、それをトルコンATに比べて大きく払しょくしていることは興味深く思われました。誤解を恐れずに言えばトラックよりもバスでのメリットが大きいのでは……。
なお、三菱ふそうではなくダイムラーの登録商標となったDUONICは、全くの私見ですがメルセデス・ベンツの小型バン/バス「スプリンター」あたりに展開される可能性もありそうです。ともあれデュアルクラッチ式AMTを世界で初めて搭載した小型バスとなったローザは一新したフロントパネルによる外観の新鮮さ以上に新しさを感じさせる内容でした。
三菱ふそうの布川友之バス開発部長とバス談義を交わす多賀氏