12年ぶりのフルチェンジ! 新型日野デュトロ発表

12年ぶりのフルチェンジ! 新型日野デュトロ発表

先ほどまで六本木ヒルズアリーナで開かれた新型日野デュトロの記者発表会に行っていたのですが、12年ぶりのフルモデルチェンジとあって、日野自動車の力の入れようはハンパじゃありませんでした。今回の新型は、何しろ新世代ハイブリッドシステム搭載車が超目玉。新型日野デュトロの国内年間販売目標1万2000台のうち4000台はハイブリッド車にしたいというのだから、ハイブリッドにかける意気込みもスゴいものがあります。また、今回の新型日野デュトロは、日野の世界戦略車として大きな期待を担っており、これからの海外展開も要注目です。まずはともあれ、日野自動車のプレスリリースを元に日野新型デュトロの概要を速報でお伝えします。

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発表会の会場で新型日野デュトロハイブリッド(標準キャブ)を前に挨拶する白井芳夫日野自動車社長

12年ぶりにフルモデルチェンジし、商品力を大幅にアップして7月2日から発売される新型日野デュトロは、平成22年排出ガス規制(ポスト新長期規制)に適合し、また新世代ハイブリッドシステムの採用、平成27年度燃費基準達成車の設定拡大など高い環境性能をそなえ、これまで以上にユーザーにメリットを実感してもらえるトラックとして生まれ変わった。従来の日野デュトロはトヨタ自動車と共同で開発、日野の羽村工場で生産し、トヨタブランドでは「トヨタ ダイナ」「トヨタ トヨエース」の車名で販売されてきたが、今回フルモデルチェンジを果たした新型車は、トヨタグループにおける商用車専門メーカーである日野が主体となり、そのノウハウや経験を存分に発揮して、日本市場だけでなくグローバルに展開することを目指して開発したもの。同時にフルモデルチェンジされるトヨタブランド車は、今回より日野からのOEМ(相手先ブランドによる供給)となる。
日野は長年に亘り大型トラック・中型トラックの市場において確かな実績を蓄積してきたが、今回の新型日野デュトロの発売を機に、小型トラック事業についてもより一層、力を注ぎ、トヨタグループの商用車事業強化を目指すとしている。

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 ■新型日野デュトロの主な特徴

今回、世界最高水準の厳しい規制である平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に対応するにあたり、新型日野デュトロにも、日野の進化したクリーンディーゼルシステム「AIR LOOP(エア ループ)」を採用した。日野の「AIR LOOP」はきれいな空気(AIR)の循環(LOOP)を目指し、NOx・PMはもちろんCO2排出量すなわち燃費も低減し、地球環境への負荷低減に貢献できるクリーンディーゼルシステムである。

環境性能の進化

新型「日野デュトロ」は、エンジンの改良とともに、既に日野レンジャーで実績のある尿素を用いないNOx低減システム「新DPR2」を採用し、平成22年排出ガス規制に適合させた。「新DPR」の採用により尿素水タンクや関連装置が不要であるため、従来車に対して重量やシステム容積の増加を最小限に抑えることができ、日野デュトロの優れた積載・架装性を損なうことなく排出ガスのクリーン化を実現した。尿素水の補給も不要である。 また、コンピューター制御により燃費に不利な運転を抑制する「日野エコラン」とアイドル・ストップ・システムを全車に標準装備するなど、環境性能の進化を果たしている。 重量車モード燃費値は、2トン積みハイブリッド車では12.2km/Lを達成。従来車に対して大幅に向上しており、ユーザーの運行経費低減に貢献。 さらに、車外騒音を大幅に低減し、静粛性を向上させている。
 
キャブスタイル、インテリアの一新

新型「日野デュトロ」 はキャブスタイルを一新。後傾角の大きなフロントウインドにより良好な空力性能を確保しながら、居住空間の拡大をはかり、足元スペースもゆとりあるものとした。 また、インテリアも一新している。インストルメントパネルは豊富な収納スペースと便利な装備を満載した新デザインを採用。 低燃費走行時にはコンビネーションメーター内のエコランプがグリーンに点灯し、エコドライブをサポートする。

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クラストップの空力性能を実現 

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 乗降性の向上、着座可能身長の拡大、足元スペースの拡大(下図参照)などキャブパッケージも大幅に見直された

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賢く使いやすいインストルメントパネル 

 

安全性能が向上

新型「日野デュトロ」は、断面を極限まで細くしたワイドビューピラー(下図)の採用によって視界が向上。また、特に車両側方の視界を向上させる2面鏡式ミラーを標準装備し、ドライバーの安全運転に貢献。またヘッドランプはロービームに夜間の視認性を向上させるディスチャージ式をオプション設定。また小型トラックでは世界で初めて横転等の危険を抑制するVSC(ビークルスタビリティコントロール・車両安定制御システム)をオプション設定するなど、安全性に一層の磨きをかけた。

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 ワイドビューミラー(上)とVSC(下)

12-4_vsc.jpg新世代ハイブリッドシステムを搭載

「日野デュトロ ハイブリッド」は2003年の発売以来、累計販売台数5,700台を超え、小型ハイブリッドトラックのトップブランドとして群を抜く販売実績を誇っている。 この「日野デュトロ ハイブリッド」が新世代のハイブリッドシステムを搭載して生まれ変わった。
①新たなシステム制御を開発し大幅な効率向上を実現
減速時のエネルギー回生とモーターによるアシストの制御を根本から見直すことでハイブリッドシステム全体の効率を大幅に向上させた。従来のシステムではエネルギー回生量によってアシスト量を可変させる方式をとってきたが、今回さらにドライバーの操作や道路状況等刻々と変化する状況を常に監視し、その状態に応じてアシスト量を最適化すると共に、エンジンとの協調によりその瞬間で最も燃費の良い状態に制御することで燃費を大幅に向上させている。

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②エンジンとモーターの間にクラッチを設置し回生効率を向上
新ハイブリッドシステムではエンジンとモーターの間にクラッチを設置した。これにより、減速時にクラッチを切ることでエンジンとモーター(減速時には発電機として作用)が切り離されるため、減速時に発生するエネルギーを効率良く発電に使うことができ、ハイブリッドシステムの特徴であるエネルギー回生効率の大幅な向上を実現している。

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③商用車世界初のアトキンソンサイクルディーゼルエンジンを搭載
エンジンには「アトキンソンサイクル」を応用し高効率化を図った。「アトキンソンサイクル」とは吸気バルブを閉じる時期を遅らせることにより圧縮開始を遅らせ、燃焼室容積を小さくし膨張比を高めることで高い熱効率を得る燃焼サイクルのこと。低回転域でのトルクは低下するが、モーターによるアシストで補うことにより、パワートレーン全体として低回転からフラットな高トルクを実現している。このようなアトキンソンサイクルを応用したディーゼルエンジンは商用車用としては世界初である。。
④主要コンポーネントを新規開発
ハイブリッドシステムの要となるモーター、インバーター、バッテリーパックを新たに開発、軽量・コンパクトなシステムとしながら大幅な性能向上も果たしている。
⑤ハイブリッド車専用5速AMT「プロシフトV」を新開発
新開発のアトキンソンサイクルディーゼルエンジンと組み合わせるトランスミッションとして、クラッチペダルの無い2ペダルAMT「プロシフトV(ファイブ)」を新たに開発した。ハイブリッドシステム用トランスミッションとして最適化すると共に、ハイブリッドシステムとの協調制御により変速ショックを大幅に低減、変速時間も短縮するなど伝達効率を向上させた。コンピューター制御により燃費が最良となるように自動変速するため、ドライバーによる燃費のばらつきが減少し、またクラッチのメンテナンスコストも低減できる。クラッチ操作が不要であるため、オートマチック車限定免許のドライバーでも運転することができる。

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なお今回の発売車型のうち、平成27年度燃費基準達成車は平成21年度税制改正における自動車重量税および自動車取得税の特例措置(エコカー減税)の対象となり、新車購入時の自動車重量税と自動車取得税が免税、または75%減税となる。

 

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発表会には、新型日野デュトロのCMキャラクターとなるタレントの新山千春(左)、柳沢慎吾(右)も駆けつけた。テレビコマーシャルは、さらに佐々木蔵之介を加え、自営業の実家に「燃費向上と地球環境を考えて」新型日野デュトロハイブリッドを勧めるというユニークなストーリーになっている。また、このバックに流れるCM曲は、中村雅俊が唄う「日本が変わる 日野が変える」。

 

 

 

 

 

 

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