忘れ雪
雪が降るといつもそんなこんなで大騒ぎになり、「今度こそチェーンを買おう」と必ずいうのだが、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の例え通り、冬が終わればその話は忘れ去られ、僕が在籍していた四年間、遂に新しいチェーンを買うことはなく、それゆえ僕は最後まで一番最初にチェーンを巻き、最後までチェーンを持って走っていたのだった。![]()
しかし、これはМ運輸に限ったことではなく、東京都内の運送会社が(まあ大手は除くとして)どれだけ雪に対する対策をとっているかは疑問である。常に長距離を走る定期便を持っている運送会社は別にしても、都内の集配だけを専門にやっている小規模の運送会社では、全部のトラックにチェーンを装備している会社は稀なのではないだろうか。
これはトラックに限ったことではない。東京で車を運転する人間は、雪が降った場合のことをあまりにも考えていないのではないかと思う。大雪が降った場合に、まず通行の邪魔になるのが乗り捨てられた乗用車である。坂道の途中で、止まったまま放置されるクルマのいかに多いことか。
トラックの運転手もできる限りはチェーンを巻きたくない。ひとつには面倒だし、スピードも出しにくい。しかし、プロの運転手ならば自分のトラックの限界を知っているし、どうしても巻かなければならないところではきちんとチェーンを巻くのである。(山高一浩)