「女性は無理」の壁を乗り越え、初めてのトラックの仕事
でも、求人を見て電話をしても「女性は無理」とのことで断られました。他にも夜間の配送のアルバイトがあったので、手当たり次第に電話しましたが、どこも同じでした。
「同じ普通免許しか持ってないなら、男性を採用するんだな」と思ったので、まずは資格だけでもと思い、大型免許と大型特殊、フォークリフト、車両系建設機械の免許を取得しました。運送業界なんて全くわからないので、なんとなく持っていたら「たくましく見えそう」という安易なチョイスです(笑)。
その甲斐あってか、やっと2t車でコンビニの配送のアルバイトを始めることができました。これが私とトラックとの初めて出会いですね。そして男の世界での仕事のスタートです。
朝8時から17時まで本職の販売の仕事をして、夜20時から朝5時までコンビニ配送の毎日で、仕事の合間に保育園行って娘とご飯食べて、娘は保育園でお風呂に入れてもらえるので、自分は銭湯へ……。まだ家もなく、クルマでの車上生活でしたが、のんびりする時間も無かったので不便はありませんでした(笑)。
初めてのトラックに乗る仕事は、周りは男の人ばかりの男社会。同僚の男の人達も親切な人達ばかりで楽しかったのですが、「女の子は良いねー」とか「女の子には無理だよ」という言葉を何度も聞かされて、同じ仕事をしていても「女ってだけで多少なりとも偏見はあるんだな」と感じていました。
そんな中、私も28歳になり、本職の販売のユニフォームがピンクのミニスカートとピンクの上着だったため、この年でこの格好はいかがなものかと思い始め、転職を考えました。
そこで本格的に運送屋さんに就職して本物の運ちゃんを目指したいと思い、懲りずに求人を見て電話しますが、やっぱり前回同様「女性はちょっと……」と面接すらしてもらえず、問い合わせの時点で門前払い。
とりあえず雇ってくれたのはクルマを運ぶ陸送屋さん。そこでは先輩方にもめぐまれ、女だからって差別もなく、仲間として受け入れてもらえました。
仕事が遅くなって娘のお迎えが間に合わない時は、手が空いている人が代わりに迎えに行ってくれたり、陸送屋の仕事が休みの日曜は、夜間に加えて昼もコンビニ配送のバイトを入れていたので、私がバイトに行っている間に娘を遊びに連れて行ってくれたり、みんなが協力してくれて仕事仲間の絆というものを強く感じました。