儲からない理由は「中抜き」
他の会社の話で聞くのが、売上制の給料です。月の売上(運賃)の何%が給料になるシステムです。会社によって割合は違うと思いますが、このシステムはトラブルが起こりやすいようです。
会社は運賃を運転手に提示しない。バラ積みなど体力的にキツイ仕事をしたからといって、必ずしも運賃が良いわけではないし、逆に精密機械などのパレット荷を運んで、リフト荷役の体力的に楽な仕事のほうが運賃が良いこともある。
「キツイ仕事=運賃が良い」なら、多少のバラ荷作業も我慢できるでしょうけどね。運転手の間で「誰々は楽な仕事なのに給料は良い」など、会社や配車に対して疑心暗鬼になってトラブルに発展しやすいらしいです。
うちの会社は1回走って幾らのシステムなので、この手のトラブルはないですが、全体的に見てやはり給料は安いと思います。
関東の運転手と話をする機会があって、「月に何回走ります?」とか、「月にどのくらいの距離走ります?」って話になった時に、「じゃあ片手(=50万円)くらい余裕であるでしょ!」って言われたことがあります。地域格差があるので、九州の給与水準は基本的に低めです。
しかし、最大の原因は、やはり荷主から実際に走る運送会社までの間に何社も何社も入っていることです。元請け→下請け→孫請け→……。ひどい時には元請けから最終の指示を出してくれる会社までに、何件電話連絡入れるんだ!? って時もあります。
間に挟んだ件数だけ運賃の中抜きがあるわけですから、大手以外はなかなか儲からない仕組みなんですよね。
運送業界に限ったことじゃなく、他業種でも同じような現象は起きていると思います。日本の伝統といいますか、しょうがないことなんでしょうが、弱者強者の関係で、下請けに位置する人間が損をする悪しき習慣だと思いますね。
好きな仕事だから頑張る
昨今、運送業界ではドライバー不足が問題になっていると聞きます。地場仕事ならともかく、長距離は確実に何かを犠牲にしなければ務まりません。
家族との時間であったり、地元に戻っても仮眠時間にあてたりと、遊びに行くような余裕がないので、確実に友達は減りますね(笑)。
運送会社は賞与、退職金、有給休暇は無いのが当たり前ですし、組合があり会社と交渉するようなシステムがあったりするのは一部の大手運送会社だけです。
それでも給料が良いなら人材も不足しないでしょうが、ハイリスクの割には普通のリターンだし、よっぽどトラックが好きか、身体を動かすのが好きな人間じゃないと運送仕事は務まらないでしょう。
僕自身、退職金も無い会社で働き続けることに対して将来の不安が無いわけではありません。ただ、自分が好きでやり始めた仕事であり、自分が好きな会社なので、倒れるまで働き続けてやろうって意気込みで、日々踏ん張っている毎日です……。
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