元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.8
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寄稿・連載
トラックドライバーの誇り その5
さて、事業用トラック(営業ナンバー)の事故率がなぜ低いのか、そのことに言及したいと思います。一説には、大型車のリミッター装着義務化が寄与しているのではないかと言われていますが、残念ながら統計を見る限り関係はないようです。事故が減り出したのは、私が統計をとった平成17年度からであり、それ以前はトラックの事故は減っていないのが現状でした。リミッターを義務化したのは2003年なので、あるいはその効果は死亡事故の減少に貢献したかもしれませんが、事故率の低下にはつながっていません。事故率は、以前から乗用車に比べてトラックの方が低かったのです。
では、何故平成17年から劇的に減りだしたのか? ドライバーの意識がこの年から変わった? 違います。一つだけその理由は挙げるのは難しいですが、一番の原因はデジタコの採用ではないかと思います。デジタコを会社が採用し、社速を決めてスピードを抑え、違反者には罰金を科したりして、軽油の高騰に対処したことが、スピードの低下につながり、事故も減った……。
会社の意識には、エコ運転はあまり関係ないと思います。そのような高尚な意識よりも、現実の支出を抑える目的が大きく動いたのは間違いありません。バブル以前言われたいた運送会社の健全な運営は、3・3・3・1、と言うものでした。つまり、人件費3割、運行や車検整備などにかかる経費3割、事務所やそれにまつわる経費3割、そして、利益1割というのが一般的に言われていた運送会社の健全経営でした。が、バブル以降この構図が大きく崩れてしまいました。
つまりは、残念ながら運転手の優秀性よりも、経済面からの側面が大きく事故率の低下になったと言わざるを得ません。
だからと言って、何もドライバーが、自身を卑下する必要はありません。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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