<ミラー>
学生の頃のアルバイトの話をしたが、3トン車はかなり古い車で、左のミラーが付いていなかった。そのため交差点を左に曲がるときは大変怖くて、あらかじめルームミラーで後方を確認しておいてからおもむろに曲がるのだが、いま覚えば、よく事故も無く運転していたなと思ってしまう。
一昨年、インドでタタ・ナノという超低価格乗用車が発売されて話題になったが、この車は左のミラーが無い。運転する時には左を振り返って確認しろというわけだ。乗用車の場合は振り返って斜め後ろは確認しやすいが、トラックは左ミラーは命のように大切なものだ。逆にあの見やすいミラーがあるからとても運転しやすいのである。
もうひとつミラーの話をすると、15トンの大型バンをミラーだけ見てバックさせていたら、はるか後ろでメキメキと何かが破壊されている音がした。後ろに止まっている大型トラックのミラーにぶつかっていたのだ。幸いその時点で気づいたのでキャブまで潰れる大きなダメージにはならなかったが、大型車の命であるミラーは見事に粉々になってしまった。
後ろの見えない大型車の運転は、十分に十分の確認を重ねてバックしないといけないことを、ぶつけて初めて学んだような格好だ。プロドライバーの皆さんのご苦労と運転技術の素晴らしさにはいつも感嘆と尊敬の気持ちを抱いています。キャブの前についている二つの命にも感謝しましょう。(社団法人日本自動車工業会モーターショー室長)