何ということだ、またトランスファにトラブルが発生してしまった! 今度は、ゴール手前の穴で交換したばかりのトランスファを破損してしまったのだ。
なんとかゴールに辿り着いたものの、もうトランスファのスペアは無し。急きょ「ニコイチ」で仕立て上げ、明日の競技に出走する予定だが、果して……?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/日野自動車・A.S.O.
ゴール手前の穴で再びトランスファを破損
ダカールラリー2025の第9ステージ、1月14日の行程はリヤド~ハラド。リヤドから東南東のハラドへ向かうアシスタンスルートの北側で357kmのSS(競技区間)が設定された。
このステージは山間地を縫って走るもので、路面は石まじりの堅い土や岩場など堅く荒れた区間が多く、スピードには乗れるものの、路面の不整による振動が激しく、舞い上がる埃とともに車両と乗員を苦しめた。
この日の行程はまず112kmのリエゾン(移動区間)で山間地のSSスタート地点へ。日野チームスガワラのHINO600は昨日のトランスファの不具合を解消し、SSを順調に走りだした。
大型車に有利なステージながら健闘してじわじわと順位を上げて行った日野チームスガワラだが、ゴールまで残り50km地点で穴を飛び越えた着地の際に前軸に前方から衝撃が掛かるアクシデントが発生。
フロントサスペンションのトルクロッドが変形し、プロペラシャフトを介して力が加わったことでトランスファケースが破損した。これによりトランスファの潤滑油が漏れ出したが、ゴールが近かったためそのまま走行。4輪部門総合81位、トラック部門12位でゴールした。これにより累積順位は4輪総合63位でトラック部門の10位を保った。
その後120kmのリエゾン(移動区間)でハラドのビバークに到着したHINO600は早速チームのメカニックたちが修復に取り掛かった。
明日からはいよいよ終盤戦。ラリーはハラドからシュバイタへ向かい、最大の難関と予想されるルブ・アルハリ砂漠の「エンプティクオーター」に入る。15日はシュバイタ周辺で120kmの競技が予定されている。
【日野チームスガワラのスタッフのコメント】
菅原照仁
今日のSSは、とりわけ後半の道は今大会で一番の「道悪」でした。穴を飛び越えて着地した際に前輪に前方から入力してしまったようです。前日交換してもらったばかりのトランスファですが、2基の状態の良い部分を集めて1基にしてもらう予定です。
染宮弘和
今日のナビは相当に複雑。終盤に5~6kmのミスコースから戻る際、前方におっぱいのような形の山が現れてびっくり。ロードブック上にもおっぱいのような形の絵があったので、オンコース復帰が確認でき、嬉しかったです。
望月裕司
アクシデントは乗っていてものすごい衝撃でした。再び走りだしてからトランスファのオイルが抜けて最後は温度上昇が始まったので、再使用にあたって熱が入った部品がないか、少し心配です。
門馬孝之
トランスファの「ニコイチ」が上手くできると良いのですが、やるしかないですね。販売会社メカニックの3人が優秀なのでこんなときも心強いです。
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