混載輸送の仕組み作りと量子コンピュータを使った自動割り付け・積み付けシステム
NLJが混載輸送で取り扱う荷物は、食品、冷凍食品、清涼飲料水、お酒、紙製品、ロール紙、化粧品、機械、自動車部品、洗剤など多岐にわたり、これをどのように組み合わせて、どのように積み込みをするかは非常にむずかしい課題であった。
たとえば、重いものと軽いものを組み合わせるバランスの取り方、それぞれバラバラの荷姿のモノの組み合わせ方。そして各荷主独自のリードタイムがある中、積み込む順番などをどう合わせて一緒に運ぶかなどがそれだ。
こうした課題に対し荷主と協議を重ね、取り組んできたことの1つが荷姿の標準化だ。
これは、今まで決まりごともなく三者三様だった荷姿をパレットサイズや荷物の高さをある程度規格化していこうという試みで、現在、3種類のパレットサイズと3種類の高さの基準をつくり、9種類の標準の荷姿を設定。荷室の効率のよい使い方を目指した取り組みが行なわれている。
いっぽう混載する上で重要なのが、どの荷物とどの荷物を組み合わせて最適化するかという課題だ。
NLJではこれを解決するために、ビジネス界で応用が進む量子コンピュータ(量子アニーリングマシン)を用いた世界初の自動の積み付け・割り付け・配車システム「NeLOSS(ネロス)」を2022年12月に開発、すでに現場に実戦投入している。
ネロスは高さ重量といった荷物の情報、納品情報を与えることで何十万通りもある組み合わせの中から積載効率が高まる一つを瞬時に割り出すことができるシステムで、人間がやると2〜3時間を要するところ、ネロスは約40秒で完了するという。
ネロスはまだ進化途中であり、開発済みの積み付け・割り付けの最適化を行なうVer1.0に対し、荷室内をセンサーで計測して空いたスペースに荷物を積み、積載率を上げる段階のVer1.3が現在トライアル中である。
そしてVer1.3の開発が終わる2023年末を目処に、外販向けにネロスを使えるようにするUI・APIのトライアルを開始する予定だという。さらに2024年度には運行ルート、ダイヤグラムの最適化まで行なえるVer1.6へ進化が見込まれる。
ダブル連結トラックへの積載率は現時点で平均60〜70%を推移し、業界平均(約40%)をすでに大きく上回っているものの、NLJの財務状況はまだ赤字だという。
持続可能な物流として成立させるためには、さらに生産性の向上を目指していく必要があるわけだが、その課題としてあるのは急な物量変動だ。
現在、ネロスを使った組み合わせは70〜80%の積載率になるように組んでいるというが、実際には前日なって荷物のキャンセルがあったり、18パレットといわれていたものが当日に16パレットしか来なかったり、突然の物量変動が要因となり60%前後になってしまうこともしばしばあるそうだ。
NLJによれば、今後さらに荷主との協議が進み、物量の平準化が行なわれ、リードタイムを1日伸ばすなどの協力が得られてくると、平均で80〜90%といった積載率に近づけることが可能になるという。
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