6月15日〜18日の4日間、「東京国際消防防災展2023」が5年ぶりに開催された。
同展示会に出展したモリタは、三菱ふそうのEV小型トラック「eキャンター」をベースにしたEV消防ポンプ車「MoEVius concept(メビウス・コンセプト)」を初公開。その詳細をお伝えしよう。
文・写真/フルロード編集部
モリタのEVポンプ車「メビウス・コンセプト」
今回、公開されたメビウス・コンセプトは、ワイドキャブ・ロングボディ車(フレーム組幅750mm/ホイールベース3400mmのE尺車)の初代eキャンターがベースの消防ポンプ車で、モリタが5年の歳月をかけ開発した肝いりの車両だ。
ボディは使い勝手を追求したモリタの最新ボディが架装され、キャブは後部座席(乗員+3名)を増設したクルーキャブ仕様となっている。
軽量化が図られた最新ボディを採用し、重くなるEVでもエンジン車と同等の搭載性能を確保しているのが特徴で、必要な資機材のレベルを落とすことなく搭載できるという。ちなみに展示車には水槽は備わっていないが、900リットル水槽等の装備にも対応可能だ。
また電動化に際して、モリタは今回新たにEV専用ポンプとePTOの開発も行なった。
メビウスに搭載された新開発のEV専用ポンプ「MPR3」(A-2級ポンプ)は、バッテリーエネルギーを考慮した設計で、大流量と高効率を実現。
いっぽうePTOは、ポンプを動かす動力を確保するため、大出力のものを新たに開発している。このePTOにはポンプの駆動制御や高電圧回路の安全を確保する「MDM-ECU」が備わっており、将来的に登場するであろうさまざまなEVシャシーに柔軟に対応できるとしている。
いっぽうEVで消防活動が成立できるのか気になるところだが、開発に際してモリタは東京消防庁のデータを収集。都内出動データから平均的な火災現場までの往復距離として、20kmを目標値に設定した。
メビウスは資機材が搭載できなくなることからバッテリーの増設は行なっていないが、eキャンターの駆動用バッテリー(総容量81kWh)で、往復20kmと1MPa/毎分1000リッターで約2時間の放水を見込んでいる。
もちろん現場によってはバッテリー容量が足りないケースもあるだろう。その場合、電源車との併用する使用方法も検討さている。
メビウスは2026年頃を目処に市場投入される予定だ。
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