複雑なシステムをわかりやすく展示! 実物再現モデルに凝縮されたトレーラ最新技術【ジャパントラックショー2022】

■最先端トレーラ機能も実装

 実は、EBS付トレーラの場合、エアサスの車高調整やリフトアクスルなどの制御は、EBSの内部にあるECU(電子制御ユニット)で行なわれています。

 エンジンのないトレーラシャシーにおいて、その走りを唯一コントロールできるのがブレーキ制御のためのEBSであり、それゆえにエア系や電装系も集約されるため、ブレーキ以外の機能をコントロールするにも都合がよいのです。

 このEBSのさまざまな機能に、スマートフォンの専用アプリからアクセス可能としたのが、「OptiLink」(オプチリンク)と呼ばれる先進技術です。もちろんTTMにも実装されていて、会場で実際に披露されました。

 「OptiLink」には、エアサス操作以外にも、トレーラの軸重表示や車両の傾斜角、ブレーキパッドの摩耗状況(ディスクブレーキ装着車のみ)といった情報も取得できるので、日常点検に活用できるというメリットもあります。

 また、トレーラ専用テレマティクス「TX-トレーラパルス」と連携することで、トレーラ個々の車両状態管理やリアルタイム位置情報を、オフィスでも取得できるようになります。こちらも大画面モニターを用いてサンプル映像を紹介していました。

 リアルタイムの運行情報などは、牽引するトラクタ側のテレマティクスでも対応できるので、機能的にいらないように思われますが、大量のコンテナトレーラを保有している企業などでは、駐車位置が特定できる位置情報は有用でしょう。

 さらに、より高度なオプション技術(例えば、トラクタ駆動軸重をトレーラ側エアサスで最適化する機能、旋回時において左右輪をエアサス制御でコーナリングをサポートする機能など)を導入した場合でも、そのオン・オフをスマホで操作できるようになります。

■トレーラのバック時の障害物検知と自動停止

 TTMには、乗用車でもよく知られたバックソナーのトレーラ版も装着されています。これが「TailGUARD」(テールガード)と呼ばれるもので、リヤバンパーには超音波センサーが装着され、実際に作動させることもできます。

 超音波センサーが人などを検知すると、運転席用表示装置(前述のトレーラ・リモート・コントロール)の、相対距離レベルインジケータが点灯したり、アラームが鳴動します。この表示装置を「OptiLink」でスマホに代用させることも可能になっています。

 さらに「TailGUARD」には、バック速度上限を9km/hに制限したり、人や障害物の接近を検出した場合、自動ブレーキを作動させられるオプションが設けられています。つまり、バック時用の被害軽減ブレーキを実装することも可能なのです。

 トレーラのバック走行は、基本的にはごく限られたシチュエーション(事業所の構内など)でしか行なわれませんが、直接視界はもちろん間接視界もごく限られる上に、運転には操作技術も必要なので、「TailGUARD」は有益なドライバー支援機能だといえます。

 ちなみに、会場でもEUトレーラーズが出品した3軸セミトレーラ「ツインデッキ」が「TailGUARD」を装着していました。EUトレーラーズによると、メーカーのオランダ・ファンエック社では標準装備になっているとのことでした。

テールガードを装着したファンエック・トレーラーズの3軸セミトレーラ「ツインデッキ」
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